Lightmatterは内部に
レーザーモジュールを実装する
その内部構成が下の画像である。上位アプリケーションやネットワーク周りの制御のためにEPYCプロセッサー×2とDDR4メモリーが中央に搭載され、おそらくはシャーシ前面(図では右側)に200Gイーサネット×2とEnvise×2を搭載したカード×8が、後端(図では左側)にはレーザー発振器×2とそのための冷却ファンが搭載される。

おそらくはレーザーモジュールからそれぞれのEnvise搭載カードに接続する光ファイバーが、シャーシの中を這いまわっているものと思われる。受光素子の方は、Envise搭載カード上に実装され、これがPCIe経由か何かでEPYCにつながっているのだろう
なぜレーザーが? と思うれるかもしれないが、記事冒頭の画像に戻ると、ここのOIUはあくまでも「入射光の位相を変調したり信号のOn/Offをすることで演算する」仕組みであって、もともとの光源は搭載されていない。
そこで外部に光源を用意し、それをPNPに送り込んで計算処理をして、最後にPNPから出てきた出力光をPhoto Detectorと呼ばれる受光素子を使って電気信号に変え、これを読み取って結果を得る形になる。そのために大きなレーザーモジュールがシャーシ後端に鎮座しているわけだ。
さてこのEnvise Serverの性能として示されているのが下の画像だ。まだEnviseの方は推定値であるが、絶対性能および性能/消費電力比で最大10倍以上、NVIDIAのDGX-A100を上回るとしている。まだ推定性能だからこれをこのまま鵜呑みにするのは危険にしても、確かにファンドなどがLightmatterに投資するには十分な性能が出ているように見える。

これはPassageの紹介ビデオを合成したもの。ASIC(つまりCMOSチップ)、DRAM、LightmatterのようなOpt-Electronicsデバイスを混在させて、Passageの基板の上に載せる形を想定している
ちなみに同社はこのPNP以外に、同じくNanophotonicを利用したインターコネクトとして、Passageも発表している。このPassageは、言ってみればNanophotonicを利用したFabricである。
というよりTSMCのCoWoSに代表されるシリコンインターポーザーに、プログラマブルの機能を追加したものだ。ちなみに接続はネットワークインターフェースとSerDesインターフェースの2種類があるとされるが、このあたりの仔細はまだ公開されていない。
ただ察するに、MZIやフェーズシフターを挟み込むことで、動的にインターコネクトを変更できるようなインターポーザ―、というあたりではないかと思う。あるいは、このEnvise向けのソフトウェアスタックとして、IDIOMと呼ばれるものも提供されている。
まだ顧客の評価などが始まっているかどうかも不明なので、現時点で製品の話をあれこれするのは時期尚早だろうが、AIプロセッサーの急速な盛り上がりのおかげで、かつては夢物語だったようなデバイスが出現しつつあるのは非常に「楽しい」と思う。この方向がさらに発展することを期待したい。

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