連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第39回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年7月2日~7月8日
積極性が低い日本のIT戦略/DX推進、国内データセンター新設動向、倒産可能性の高い業種、ほか
2022年07月11日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2022年7月2日~7月8日)は、セキュリティインシデントの急増、国内データセンター新設動向の変化、2022年後半に倒産可能性の高い業種、IT戦略/DX推進に対する企業の積極性の国内外ギャップに関するデータを紹介します。
■[セキュリティ]2022年上半期のセキュリティインシデントは前年同期比1.6倍(デジタルアーツ、7月5日)
・2022年上半期のセキュリティインシデントは前年570件、同期比約1.6倍
・最多はマルウェア感染で前年同期比15倍
・Emotetの感染報告は前年同期比273倍
2022年上半期(1~6月)の国内企業・組織におけるセキュリティインシデントを、公開されている報告書と報道をもとに独自集計した。同期間のインシデント件数は570件で、前年同期から1.6倍となった。最も多いのはEmotetなどのマルウェアやランサムウェア感染で293件。前年同期の15倍と急増した。
■[クラウド]国内データセンターはクラウド向けを中心に新設増加へ(IDC Japan、7月7日)
・事業者データセンターは43%が新設予定
・ハイパースケールデータセンターは、2023年から新設件数の大幅増加を見込む
・社内データセンターの新設は8%、継続して少ない傾向に
国内のデータセンター管理者272名を対象に、建物、電気設備、空調設備などのデータセンター(DC)ファシリティへの投資、運用課題についての調査をまとめた「2022年 国内データセンター管理者調査」より。事業者DCでは43.2%の管理者が「データセンターやサーバールームの新設予定がある」と回答した一方で、企業内DCの新設は8%にとどまった。社内IT資産をクラウドサービスへ移設する傾向が強いことを理由に挙げている。注目は、クラウドサービスに必要な事業者DCである「ハイパースケールデータセンター」で、2023年から新設規模が一段と増えると予想している。
■[経営]2022年下期以降、倒産の可能性が高い業種は農業、電気、繊維(7月7日、アラームボックス)
・倒産の危険性が最も高いのは農業、31社に1社が倒産の危険性あり
・燃料価格高騰の電気業は62社に1社で2位
・9位は金融、112社に1社
2021年5月~2022年5月に収集した1万社以上、25万4174件のネット情報等から1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出し、「倒産危険度の高い上位10業種」として予測した。最も高かった業種は耕種農業、畜産農業、園芸サービスなどの農業。飲食店の業務用需要が減少するなどコロナ禍で業績悪化の情報が多く発生していたうえに、梅雨明けの早まりなど気候変動による不作の不安視が影響した。2位以下、電気(62社に1社が倒産する危険性)、繊維・衣服等卸売業(同75社に1社)、設備工事(同89社に1社)、宿泊業(同95社に1社)などと続いており、9位に飲食、金融商品取引・先物取引(共に112社に1社が倒産する危険性)となっている。
■[DX][クラウド]クラウド移行に積極的だが、DX推進への積極性はグローバルを下回る(エクイニクス、7月6日)
・コロナ禍を受けて「DXをさらに進展」:日本は37%、グローバルは60%
・日本企業の60%がより多くの機能をクラウドに移行予定と回答
・優先度が最も高い項目は、日本もグローバルも「サイバーセキュリティ対策の改善」
日本を含む約30カ国のIT意思決定者(2900人)を対象としたテクノロジートレンドに関する年次調査「Equinix Global Tech Trends Survey」より。コロナ禍がDXとIT戦略に与えた影響について尋ねたところ、「さらに強化する」という回答は、DXがグローバル52%/日本34%、IT戦略がグローバル60%/日本34%。日本はグローバルより慎重な姿勢をとっていることがわかった。テクノロジー戦略における優先度は、「サイバーセキュリティ対策の改善」が日本もグローバルも最多。グローバルとの差が大きかったのは「新しいデジタル・エコシステムとのつながり」で、グローバルは76%であるのに対し、日本は46%だった。
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