Windows 11で搭載されたスナップレイアウトがさらに改良される
22H2では、Windows 11初版で搭載されたスナップレイアウトが改良された。スナップレイアウトは「FancyZones」としてPowerToysに搭載されたウィンドウの配置機能の簡易版だ。あるいは、Windows Vistaで搭載されたAero Snapの改良版といってもいいかもしれない。AeroSnapでは、画面の左右にウィンドウを配置できたが、FancyZonesはこれを拡張してレイアウトをユーザーが自由に定義できるようにした。スナップレイアウトはその中間にあり、ウィンドウのレイアウトパターンは固定だが、6つのパターンから選択を可能とした。
起動方法はキーボード(「Win+Z」)と最大化ボタン上でのホバー(マウスカーソルを乗せること)である。今回の改良では、これに加えて、グリッパーを使う方法が追加された。ウィンドウをドラッグしたままモニター上辺に近づけると「グリッパー」が表示され、そのままグリッパーにマウスカーソルを入れると、スナップレイアウトメニューが表示される。

ウィンドウを画面上部にドラッグしていくと、スナップレイアウトのグリッパーが表示され、さらに近づくとスナップレイアウトメニューが表示される。そのままドラッグを続け、カーソルをゾーンに入れると、ウィンドウの配置位置がデスクトップに示される
この方法はタッチ操作でも可能で、タブレットや2in1など、マウスやキーボードもないマシンでのスナップレイアウトが使いやすくなった。
また初版では、スナップレイアウトメニューをマウスで直接選択していたが、22H2では、レイアウトメニューに表示されている「ゾーン」(ウィンドウの配置場所を示すグレーの矩形)に、ウィンドウをドラッグしているマウスカーソル(あるいはタップ地点)や指(タッチポイント)をゾーン内に動かすことで、該当ゾーンにウィンドウが配置される。また、キーボード(「Win+Z」)でスナップメニューを開いた場合、各ゾーンに数字が表示されるので、数字キーで配置位置を選択できるようになった(初版ではカーソルキーでゾーンを選択していた)。
スナップ機能を使ったあと、空いた領域に候補となるウィンドウを表示する「スナップアシスト」機能だが、ここで、Edgeのタブが候補として表示できるようになった。

スナップレイアウトでウィンドウを配置すると空いたゾーンの候補を表示するスナップアシストが起動する。このとき、Edgeブラウザーのタブが候補として表示されるようになった。写真上段右側の2つがEdgeブラウザのタブである
これは2つのウィンドウでウェブページを開いて作業するときに便利だ。この機能は設定で変更可能で、「設定」→「システム」→「マルチタスク」→「スナップまたはAlt+Tabを押したときにMicrosoft Edgeタブを表示する」から、「すべてのタブ」「最新の5つのタブ」「同3つ」「タブを表示しない」が選べる。

スナップアシストや後述のタスクスイッチャーで候補としてEdgeのタブを含めるかどうかは、「設定」「システム」→「マルチタスク」→「スナップまたはAlt+Tabキーを押したときにMicrosoft Edgeタブを表示する」で制御できる
関連して、「Alt+Tab」によるタスクスイッチャーも改良された。

「Alt+Tab」が強化され、Edgeタブを個別に選択できるようになったほか、スナップレイアウトで配置したウィンドウをグループとしてまとめて選択できる。このときにグループは、デスクトップ画像の上にまとめて表示される
まず、Windows 10と同じく、ウィンドウ内にサムネイルが表示される形式(初版では全画面を使っていた)に変わり、ここでもEdgeタブが独立して表示されるほか、スナップレイアウトで組み合わせた複数のウィンドウが1つのグループとして表示されるようになる。これを使うことで、画面分割した複数のウィンドウをまとめて切り替えることができる。
タスクスイッチャーに似た機能として、タスクビュー(タスクバーのアイコン)がある。Windows 10では、Windows TimeLine(アクティビティ履歴)との関係で、タスクビューを導入したが、結局Windows TimeLineは終了となった。現状、タスクビューとタスクスイッチャーの機能的な違いは仮想デスクトップ切り替えの有無でしかない。またタスクビューは、ディスプレーごとの表示であり、アニメーションの負荷も高い。今回のタスクスイッチャーの強化は、タスクビューからタスクスイッチャーへの回帰という感じがある。
比較的安定しているビルドを配付するというRelease Preview Channelでもプレビュー配付が始まっているので、使っていないPCがあるなら評価を始めてもいいかもしれない。次回は、今回に引き続きエクスプローラー改良点と設定関連の解説する予定だ。

この連載の記事
-
第471回
PC
Windowsのコマンドラインでエイリアスを使う -
第470回
PC
Windows用のパッケージマネージャー「Winget」 プレビュー版で機能が充実してきた -
第469回
PC
Windows Updateの27年 悪役だった頃から改良が進んで、徐々に目立たない存在に -
第468回
PC
2025年のWindowsどうなる!? Windows Insider Programの状況をあらためて見る -
第467回
PC
Copilot+ PCのNPUでカメラを処理する「Windows Studio Effects」 その内容や効果は? -
第466回
PC
PowerToysの最近の新機能には、複数アプリを指定位置に起動する「ワークスペース」や新規作成のカスタマイズがある -
第465回
PC
WindowsのPowerShellからBluetoothデバイスを調べる -
第464回
PC
Windows 10のサポート切れまで1年を切った さてWindows 10マシンをどうする? -
第463回
PC
Windows Terminal Preview版でSixelグラフィックスを実際に表示させてみる -
第462回
PC
Windows Terminal Preview版でSixelグラフィックスを扱う -
第461回
PC
Copilot+ PCを買ってみたが、「今焦って買う必要はない」のかもしれない - この連載の一覧へ