一般的なWindowsユーザーにはあまり関係しない部分になるかもしれないが、Windows 11 Ver.22H2(以下22H2と表記)の変更点解説の最終回は、GUIではない部分や設定ページ、Windowsサンドボックスなどを解説する(【タスクバーとスナップレイアウト】、【エクスプローラー&タスクマネージャー】)。
Windowsサンドボックスが再起動をサポート
これまでのWindowsサンドボックスでは、再起動は終了と同等で、再起動後は必ず初期状態に戻っていた。もともと、アプリケーションなどの動作を検証するためのものなので、致し方ない部分はあったのだが、この仕様のために日本語環境などに切り替えることができず、非英語圏のアプリケーションの検証には使えない問題があった。
しかし、22H2からWindowsサンドボックスは、再起動と終了が明確に区別され、再起動しても初期状態には戻らなくなった。これにより、日本語環境などへの切り替えが可能になった。
ただし、一回終了させてしまうと、初期状態である英語環境に戻ってしまう。Windowsに対してのさまざまな変更をすべてリセットできるというのが、Windowsサンドボックスの特徴でもあり、それ自体は仕方がない。英語環境のままで不十分な検証するよりは、手間はかかるものの、日本語環境にできるようになったのはありがたいというべきだろう。
なお、22H2からはWindows PowerShellから言語環境を操作できるようになっており(後述)、LanguagePackManegementというモジュールが標準で入る。なのに、現ビルドの22621.160のWindowsサンドボックスに含まれているWindows PowerShellには、このモジュールが入っていない。ミスなのか、そもそも考えてもいないのか? 最終版まで待つことにしよう。
そのほかWindowsサンドボックスには、アイコンの変更やダイアログの角が丸くなったという変更点があるが、これらはどうでもいいことなので省略する。
GUIでない部分の変更点
仮想マシンの環境がWindows 11のインストール可能な条件を満たす
前述のようにPowerShellにLanguagePackManegementが入った。具体的には、以下の表のようなコマンドが追加されている。
また、標準搭載の.NET FrameworkがVer.4.8.1になり、ようやくARM64プロセッサを正式にサポートするようだ。ただし、現在のビルドの22621.160には、まだ搭載されていないようである。レジストリにあるバージョンを見ると「4.8.09032」(x64版)になっていた。
このバージョンからWMI(CIM)情報を扱うコマンドラインシェルのWMIC.EXEは、このバージョンからWindowsのオプション機能(「設定 」→「アプリ」→「オプション機能」)としてアンインストールや再インストールが可能になった。これまでは、標準で必ず組み込まれていた。将来的にデフォルトではインストールしないようにするための布石と思われる。
さらに絵文字がUnicode Ver.14.0相当に更新されている。
このほか、仮想マシンの環境がWindows 11のインストールに必要な条件を満たすようになった。第2世代の仮想マシンではファームウェアとしてUEFIが使われるが、このファームウェアがHTTPSブートに対応した。HTTPSブートとは、ネットワークからシステムを読み込んで起動する仕組み。
BIOS時代からあるネットワークブートは、PXEブートと呼ばれていてTFTPを使う。両者の違いは、システムイメージを転送する場合のネットワークプロトコルである。HTTPSブートは、HTTPSを使い暗号通信によりシステムイメージを取得するが、電子証明書などが必要になる。
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