「BMW M4 GT3」シェイクダウンはSUPER GTを1年間戦うための定規作り

文●折原弘之 写真●折原弘之

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日本に上陸した「BMW M4 GT3」がシェイクダウン
まだ実力は未知数か

 SUPER GTのGT300クラスで2022シーズンを戦う「BMW Team Studie」が、ニューマシンを引っさげ始動。昨シーズンSUPER GTを戦ってきた「BMW M6 GT3」から「BMW M4 GT3」にマシンをスイッチ。2月7日に富士スピードウェイで、シェイクダウンを行なった。まだまだ寒い富士スピードウェイに持ち込まれたBMW M4 GT3は、6日に動作確認のため走り始めた。ただしこの日は、翌日のシェイクダウンに向けて、軽く転がした程度。本格的な走行は、あくまでも7日の走行だった。

シェイクダウンしたBMW M4 GT3。ミシュランタイヤを使用することも注目だ

 シェイクダウン当日の富士スピードウェイは、晴天に恵まれ絶好のテスト日和となった。今回のシェイクダウンは、マシンもそうだがミシュランタイヤとのマッチングも気になるところだ。エンジニアの高根氏は「今回は、あくまでもシェイクダウン。タイムをどうこういうより、BMWのデフォルトセットとミシュランのデフォルトのタイヤマッチングを見るのが目的。両メーカーの推奨するセットでフィーリングを見て、基準となる定規を作る作業ですね」と今回の走行の目的を話してくれた。

荒選手によってコースインしたM4はスムーズにラップを重ねていた

 9時50分に荒 聖治選手の手によってコースインしたBMW M4 GT3。最初はまさにシェイクダウンといった感じで、ゆっくりと走り出した。動作状況を確認しながら数周ラップするが、徐々にアクセル開度が大きくなってくる。V型エンジンが主流の中、直列6気筒エンジンは軽快に回りミシュランタイヤは確実に路面を捉えているように見えた。事実シェイクダウンを担当した荒選手も「昨年まで戦ったM6より、このM4の方がダウンフォースは上がっているように感じますね」とコメントしてくれた。

新たにドライバーの近藤選手を迎え、リレーションシップや情報を共有することも大切な作業だ

 この日は午前中1回、午後1回の走行が行なわれた。公式テストとは違い、スポーツ走行枠でのシェイクダウンなので合計1時間ほどの走行だ。しかも一般車との混走のため、タイムを出しにいく環境でもない。高根氏の言う通り、基準となるデータを取って、来るべきシーズン開幕に向けてのテストを充実させるのが狙いだ。ドライバーも初めてのマシンの基本特性を知るくらいの気持ちで臨んでいる。そのドライバーラインナップだが、2022シーズンは昨年から継続の荒 聖治選手、BMW M4 GT3の開発ドライバーでもあるアウグスト・ファルフス選手、そして今回のシェイクダウンにも参加した近藤 翼選手の3人体制だ。

短い時間とは言え、乗れた事は大きな意味があると語る近藤選手

 シェイクダウンを無事終えて、新型コロナウィルスの影響で来日できなかったファルフス選手の代わりに参加した近藤選手は、「第三ドライバー登録ですが、2022シーズンは少なくても3レースは参加できます。今回シェイクダウンに参加できたのは、大きな意味があります。15分程度しか乗っていませんが、ダウンフォースレベルが高くて乗っていて気持ちよかったです」第一印象は好感触なようだ。「スーパー耐久でアストンマーティンに乗っているんですが、あれに近いようなコーナリングマシンという印象ですね。あとは今年からの加入なので、早くチームに慣れて走れるときにはチームに貢献したいです」と今年の抱負を語ってくれた。

マシンとドライバーに加え、スタッフもGT500経験者を迎えチャンピオンを取りに行く体制ができたと語る鈴木チーム監督

 荒選手は、「まず、新車っていうのは気分がいいですよね。車に関しては、直列6気筒エンジンは音も良いしスムーズだし乗っていて気持ち良いですね。車の特性もM6に比べるとシャープ、大きさを感じさせない印象です」第一印象はまずまずのようだ。「今回はシェイクダウンなので、ハッキリした事は言えませんが、ダウンフォースレベルは上がっています。ただし、今のGT3はグリップレベルが高いマシンの戦いです。そんな中で戦っていくために、これからのセットアップが大事になると思います。タイヤに関しても、開幕まで時間がない中どれだけ合わせてもらえるのかと言うのも大きなポイントです」タイヤとのマッチングを聞いてみると、「マッチングは悪くはないです。ただし走り始めたばかりですから、お互いにマシンの特性を把握してそこに合わせていく作業が必要になります。当たり前ですが、まだまだこれからです」とのこと。

 今シーズンの体制について聞いてみると、「チャンピオンを狙える体制は揃えてもらえたかなと思っていますのでキッチリと活かしたいですね。あとはBoP(バランスオブパフォーマンス)性能調整が、ちゃんと戦えるだけの公平なものになることを期待しています」とのこと。チーフエンジニアの高根氏も「初参戦のマシンに対してのBoPは、当然ながら厳しいものになるので、そこは覚悟しています。ただ、もし前半戦で思ったような成績が残せなければ、BoPも見直しが入るでしょうからチャンスはあると思っています」と力強いコメントがもらえた。

新しいマシンに手応えを感じていると荒選手

 2022シーズンを見据えて、鈴木監督は「2022シーズンは、チャンピオンを取るための体制は整えたつもり。荒選手は説明するまでもないトップドライバーだし、アウグストはBMW M4 GT3の開発に一番深く関わっているしね。それに仮にアウグストがコロナの影響で、来日できなかったとしても自信はあるよ。荒、近藤の2人でも十分に、シリーズチャンピオンは狙えると思っている。チームスタッフの面でも、GT500経験者が増えたことで新しいマシンには対応しやすいと思う。GT500経験者が多いことはレースを戦っていく上で大きな力になっているでしょう」と2022シーズンのチャンピオン獲得を見据えたチーム作りができたと確信しているようだ。

モータースポーツはチームスポーツ、ソフト面とハード面の両方が揃わなければチャンピオンは狙えない

 今回取材したBMW M4 GT3を含めたGT3マシンは、基本的には誰でも購入可能な市販レーシングマシンだ。そのため各メーカーは、壊れないマシンを作ってくる。近年のSUPER GTでマシントラブルが極端に少ないのは、そういった背景があるからだ。そうなるとレースの勝敗は、マシン性能、タイヤのチョイス、ドライバーの技術、ピットワークにかかってくる。マシンに関しては基本性能もそうだが、BoPに委ねる部分が大きい。タイヤに関しては、多くのメーカーが参入しているカテゴリーだけに、性能差が出やすい環境にある。そしてドライバーは、ライバルと競いながらGT500マシンを上手にいなすテクニックも求められる。

 このカテゴリーでのチャンピオン奪取は、本当に強いチームを作らなければ叶わない。チーム監督の鈴木氏が作り上げたチームが、どこまでタイトルに近づけるか楽しみなシーズンになりそうだ。

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■筆者紹介───折原弘之

 1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。

■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー

■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン

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