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ASCII Power Review 第155回

お値段も本気の75万円でございます!

フラッグシップ「EOS R3」実機レビュー = キヤノンの本気カメラを徹底テスト

2021年12月09日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 キヤノンからフルサイズミラーレスのハイエンドモデル「EOS R3」が発売された。縦位置グリップ一体型ボディーに最高秒30コマの高速連写や復活した視線入力AFなど最先端のスペックを搭載している。

11月27日に発売されたが現在は品薄状態。量販店価格はボディーのみ74万8000円。上の写真で装着しているレンズは「RF24-105mm F4」(15万3450円)。

とんがったAF性能に電子シャッターが秀逸、視線入力はSFの世界

 やはり特出しているのはAF機能だろう。AFモードSERVO(一般的なカメラでいうところのAF-C)では合焦した被写体が動くと自動的に追尾して、的確にピントを合わせ続けてくれる(設定で追尾オフにすることも可能)。追尾機能自体が珍しいわけではないが、あまりにもスムーズに追随してくる様子は、従来のカメラとは別次元に感じられた。

 被写体認識機能も搭載し人物(瞳はもちろん後姿も認識)と動物(犬と猫と鳥)、乗り物(モータースポーツ系)から優先する項目が選べる。試しに動物優先で飛び回るカモメを撮影した作例を見てもらえば、そのAF追随性能の優秀さが伝わるだろう。

飛び回るカモメを動物認識と秒30コマの高速連写で撮影した写真からGIF動画を作成。カモメを追随し続けてくれる様子がわかる。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF9・シャッタースピード1/3200秒・ISO800・ホワイトバランス・ピクチャースタイルスタンダード・オートライティングオプティマイザ標準。

上記の連写で撮影した実際に画像。拡大してみてもしっかりピントが合っていた。使用レンズ「RF100-400mm F5.6-8」・絞りF9・シャッタースピード1/3200秒・ISO800・ホワイトバランス・ピクチャースタイルスタンダード・オートライティングオプティマイザ標準。

 測距点選択には通常のジョイステックタイプにくわえ、指先でなぞってスムーズな移動ができるスマートコントローラー も搭載。「EOS-1DX MarkⅢ」で初めて体験して以来、現状もっとも優れた測距点操作方法だと個人的には思っている。「EOS R5/R6」には採用されなかったので、今回搭載してくれたのは喜ばしい。

AF-ONボタンと兼ねるスマートコントローラー。その操作感は名前の通りスマートそのもの。

 話題の視線入力は予想以上の精度で、視線に合わせてポインターが移動する様子はかなりSFチック。メガネを掛けて試してみると、少し挙動が怪しいこともあったが、十分実用的な動作だった。ただメガネの度数などによって個人差はあるかもしれない。また慣れないと画面上の被写体以外の部分を確認し、不本意に測距点が動いてしまうことも……このあたりは使いこなしに工夫が必要だろう。

視線入力のキャリブレーション画面。この後上下左右の指標でも行う。キャリブレーションデータは6つまで登録できるのでメガネやコンタクトの有無で使い分けが可能だ。

 AF性能を存分に活かしてくるのが高速処理の積層型センサーが実現した電子シャッター。動体歪みを改善しつつ最大で秒30コマ連写が可能。当然連写時はブラックアウトフリーなので、被写体の動きを追い続けられる。シャッター方式は初期状態で電子シャッターに設定され、他にメカシャッターと電子先幕シャッターが選べるが、どうしても歪みが気になる(あまり無いとは思うが)、もしくはストロボのシンクロ速度を上げたい(電子シャッター1/180秒・先幕シャッター1/250秒・メカシャッター1/200秒)場合以外は電子シャッターで撮影しても問題はなさそうだ。ちなみにメカ/電子先幕シャッターの連写は最高秒12コマになる。

シャッター形式による歪みをチェックするため900RPMのPCファンをシャッタースピード1/4000秒で連写して比較してみた。写真左から電子シャッター・メカシャッター・電子先幕シャツター・とある積層型では無いフルサイズミラーレス。電子シャッターでは微妙な歪みはあるようだが、気になるレベルではないだろう。

ボディはバランス良くEVFも最上クラス
背面操作は「1DXM3」と「R5」を足して2で割った感じ

 ボディー外観は縦位置グリップ一体型なのでそれなりに大柄だが、手にしてみると見た目よりは軽く感じる。グリップの形状も手に馴染み、縦位置横位置ともに安定して構えることができる。

ボディーサイズは150(W)×142.6(H)×87.2(D)㎜。メディア、バッテリー込みの重量は1015g。ギリ片手で持てる重さだ。

グリップはサイズの割に細身で深さもあって握りやすい。

 操作系では上面右肩前後にEOSお馴染みの背面ホイールと3つのコマンドダイヤルを備え、絞りとシャッタースピード(もしくは露出補正)にくわえISO感度もダイレクトに操作することができるのが快適だった。

背面の操作系は「1DXM3」と「R5」を足して2で割った感じ。EOS系は電源ボタンが上面左肩に位置する機種が多いが、個人的には「R3」の位置(背面右下)のほうが使いやすい。ただベストな位置はシャッタボタン周りだと思う。

3つのダイヤルを備えた機種は他にもあるが、いずれも背面ホイールが小さめ。その点EOSシリーズの背面ホイールは長年の歴史があるだけに使いやすい。

側面の端子類。外部ストロボを多用する人にはシンクロ接点があるのは安心感があるはず。

 576万ドットという高精細ということもあるが光学系が優れているため、EVFの視認性はとてもクリアだ。表示も露出や色調にくわえ、新たに被写界深度の表示にも対応。また光学ファインダーの見え方を再現したOVFビューアシストも搭載し、撮影シーンや好みで使い分けることができる。

EVFでリアルタイムに被写界深度が確認できる表示が追加。欲を言えば表示Simulationしない+絞りも欲しいところ。

OVFビューアシストをオンすると、明暗部の階調が確認しやすくなる。EVFの人工的な表示に馴染めない人にオススメだ。

 背面バリアングル液晶も415万ドットと高精細なので、拡大して細部を確認したいときに活躍してくれる。タッチ操作はメニュー画面にも対応。「EOS」シリーズのメニュー画面は少し複雑に感じるので、タッチ操作のほうが断然快適だ。

複雑なメニュー画面もタッチ操作なら楽々。

 ストロボのホットシューはデータ通信や電源供給ができるマルチシューに変更。スマホと接続するアダプターやマイクが装着できるが、専用外部ストロボを調光できるトランスミッターが気になる。

見慣れたホットシューの奥を覗くと端子類が見える。今後どのようなアクセサリーが展開されるのか楽しみだ。

 バッテリーは「EOS-1DX MarkⅢ」と同じ大容量の「LP-E19」を採用。公称の撮影可能枚数は約620枚だが、連写メインで撮影していたときは3000枚以上撮って残9%だった。さらにボディー本体でのUSB充電に対応している。

付属の充電器は個別にはなるが2個のバッテリーを充電できる。ただサイズは大柄なので持ち歩くには荷物に。しかしUSB充電対応したおかげで、短期の出張なら予備1個とボディー内充電でも十分間に合いそうだ。

連写メインで撮影した際、やたらバッテリーが持つなと思って確認したところ驚きの数値が。やはり大容量バッテリーは頼もしい。

実写した画質は画素数を超え、高感度も秀逸の描写

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