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柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第104回

Cybozu Days 2021で披露された「kintone AWARD 2021」レポート前編

医療、福祉、電気工事業界で大きな業務改善を実現したkintone事例がスゴイ!

2021年12月21日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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災害時にkintoneを活用するために平時から活用し倒す

 2番手は岐阜県美濃加茂市社会福祉協議会の麻生涼介氏。「災害時でのkintone活用のために平時でもkintoneを活かした業務改善を」というテーマでプレゼンしてくれた(関連記事:災害ボランティアの気持ちに応える 社会福祉協議会がkintone導入に込めた思い)。

 社会福祉協議会は全国の市町村ごとに置かれている機関で、ボランティアセンターや子ども食堂、高齢者サロン、結婚相談をはじめ、地域の福祉に関わる様々な事業を行なっている。

 災害発生時には被災地に赴き、復旧活動をする災害ボランティアが多数駆けつけてくれるという。社会福祉協議会はボランティアと被災者のニーズをマッチングするために、災害ボランティアセンターを設置する。

「私の上司が熊本震災の際に被災地支援に行なったのですが、受付をする際にサーバーから住民の情報を取れず、紙を使って受付けすることになり、時間がかかってしまったそうです。上司は有事の際に、支援を必要としている人の情報が得られないのは問題だと危機感を感じました。そこで、どんな状況でも情報を得られるようにクラウド化を進めようということで、kintoneの活用がはじまりました」(麻生氏)

美濃加茂市社会福祉協議会の麻生涼介氏

 職員の中にはデジタルリテラシーが低い人もいて、導入のハードルが高かったそう。そこで、有事にkintoneを使えるようにするためには、平時からkintoneを活用するという試みを始めた。

 ある事業では、利用者を新規登録する度に、WordやExcel、その他の業務システムなど計5箇所に入力していたが、kintoneに一元化することで1回の入力で済み、事務作業が楽になった。延べ1100人の情報を紙ベースで連絡し合っていたこともkintone化することで、他セクションとの情報共有が楽になった。こんな改善を進めることで、ITが苦手な人の間でもkintoneの活用が進んでいったという。

 本丸の有事に備えるアプリ開発も行った。「要支援者管理マップ」アプリでは高齢者や障害者など、生活支援を必要としている人と社会資源をマッチングできるようにした。

平時でも有事でも活用できる支援者管理マップアプリを開発した

 次に、災害ボランティアの受付を紙ではなくkintone×二次元バーコードで行うことにチャレンジした。有事の活用のためには平時から活用するという視点で、車椅子などの備品貸し出しに利用することにした。

「今年の9月には災害ボランティア運営訓練を行い、その中でも備品貸し出しシステムのテスト運用を行いました。こういった活動を続ける中で、有事と平時のどちらでも活用するという視点を持つことで、有事の活用のハードルを下げるなどのメリットがあることに気がつきました」(麻生氏)

普段からkintoneアプリを活用することで、有事活用の土壌作りにチャレンジしている

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