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最新パーツ性能チェック 第358回

高画質ゲーミングでフレームレートも妥協したくない人必見

DLSS非対応のゲームでも使えるアップスケーラー、NVIDIA Image Scaling速報レビュー! DLSSやFSRとの違いは?

2021年11月16日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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DLSSやFSRと比べて画質はどうか?

 NISで得られたゲーム画面の画質は、既存のアップスケール技術と比較してどの程度良い/悪いのだろうか? DLSSやFSRがどういう技術であるかはDLSS 2.0のレビューFSRのレビューで解説済みだが、低解像度でレンダリングした映像に対し、深層学習(AI)を利用するのがDLSS、シャープネスフィルターなどのアルゴリズムを利用するのがFSRとなる。NISやFSRは“そのフレームだけ”を見てアップスケールを行うのに対し、DLSSは動きのベクトル、即ち過去のフレームの情報もある程度利用して処理を行う。

DLSS 2.0における処理では、低解像度でレンダリングした映像とは別に、そこから導き出される動きの情報(ベクトル)をニューラルネットワークに入力し、より高い解像度へアップスケーリングする

 こうした違いがどのように画質に影響するのか、検証してみよう。今回は以下のような構成でゲームをプレイ。前述の通りNIS使用時は出力解像度でキャプチャーできないため、今回はAVerMediaのキャプチャーカード「GC573」を搭載したPCで画面を記録した。

検証環境
CPU インテル「Core i9-12900K」
(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)
マザーボード GIGABYTE「Z690 UD」(Intel Z690、BIOS F4)
メモリー Kingston「FURY Beast DDR5 KF552C40BBK2-32」(DDR5-5200、16GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)
Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」
(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」
(May 2021 Update)

 今回は時間が極めて厳しかったので、いつものようなフレームレート比較は行わない。その代わりに画面上にフレームレートカウンター(CapFrameXによるもの)を出しているので、その大きさで判断して頂きたい。出力解像度は4K、内部解像度はWQHDに設定。NISのシャープネスは、標準設定でも妙にパキパキしていて好みではなかったので、設定値はゼロにしている。

DLSSをはじめとするアップスケール技術の画質設定(Qualityとか、Performanceといったもの)はほぼ共通している。例えばFSRのQualityはNISの67%設定に等しく、4K解像度の場合2560x1440ドットとなる

 画質の比較は今までだとスクリーンショットを画面上で並べて比較していたが、今回NVIDIAは画質比較用のツール「ICAT(Image Comparison & Analysis Tool)」もリリースしたため、こちらを使用してみた。ICATの凄い点は、スクリーンショットはもちろんキャプチャーした動画にも対応し、再生しながらサイドバイサイドで比較できるという点だ。

 さらに視点が微妙に動く場合も内容を分析して近いところで頭出ししてくれるが、ベストなフレームは自分で決める必要がある。ただ、まだ出たてのツールなので、相違点を強調してくれるとか、ノイズ混入比を出すような突っ込んだ分析には対応していない。今後の発展に期待したい。

 ICATをわざわざ公開したのは、NVIDIAが単にフレームレートだけでなく、画質にもこだわっているという姿勢の見せたかったからではないだろうか。

ICATの画面。このように読み込んだスクリーンショットや動画を横に並べ、中央の仕切りを動かしながら詳細に比較できる

実用性があるかは不明だが、動画を複数横に並べ、同時に再生しながら比較も可能。動画の頭出しのタイミングを微調整する機能もついている

 それではゲーム画面の比較といこう。まずは「DEATHLOOP」で試してみる。リリース当初からFSRに対応していたゲームだが、10月中旬のアップデートでDLSSにも対応したので、今回の比較にはもってこいだ。画質は最高設定(レイトレーシングも有効)とした。画像は全て同一地点からの視界となっている。フレームレートは、画像の場所で立ったまま10秒の間に観測された値だ。

ネイティブ解像度(NISはオンだが等倍表示、かつスケーリングも適用量ゼロ)。フレームレートは50~51fps

NISオン、内部解像度は2560×1440ドットの時。スケーリングは適用量ゼロ。フレームレートは71~88fps

FSR“Quality”(画面上では“画質”)適用時。フレームレートは71~72fps

DLSS“Quality”(画面上では“画質”)適用時。フレームレートは69~79fps

画面中央の仕切りから左がNIS、右がFSR適用時。どちらも内部解像度は4Kの67%、即ちWQHDでレンダリングしている。どっちも同じようにボケているが、FSRの方がアンテナ基部の囲いが完全に滲んでいる

疑り深い読者のために左と右を入れかえてみた。即ち左がFSR、右がNIS適用時

中央より左がネイティブ解像度、右がNIS適用時。アンテナの格子もアンテナ基部の囲いもネイティブ解像度の方がハッキリしているが、それでも喪失しているディテールはある

中央より左がNIS、右がDLSS適用時。DLSSだとアンテナ基部の囲いの細かい線が省略されずにくっきりと描き出されている

 以上の結果から分かるように、NISはDLSSを代替するものではない。同じ内部解像度設定でも画質とフレームレートを高次元でバランスするのがDLSSであり、NISは細部のディテールは失われる傾向にある。少々乱暴だが、DLSSは“何を描きたいか”を推論してアップスケールするのに対し、NISやFSRは拡大処理プラスαという感じだ。

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