アクセラレーターが3次キャッシュや
メモリーに直接読み書きできる
次の話がAiA(Accelerator interfacing Architecture)である。要するに、より効率的にアクセラレーターを利用できるようにするというもので、具体的にはアクセラレーターに対してキャッシュコヒーレンシなメモリーアクセスが可能というものだ。
つまりアクセラレーターが3次キャッシュやメモリーに直接読み書きを可能にできるというものだ。おそらくはCXL経由でのアクセラレーターも、このAiAに対応したものであればやはりキャッシュコヒーレンシを保つ形でアクセス可能になっているものと思われる。
このAiAの上に載る形で、先に書いたAMXのほかにDSA(Data Streaming Acceleration)EngineやIntel QAT(Quick Assist Technology)などが搭載されるが、今回初搭載のDSAはともかく、QATそのものは以前から提供されていた技術である。ただこちらもAiAを利用することで大幅に効率が上がったようで、実にCPU処理の98%をオフロードできるとしている。
Intel DSAはインテルのウェブサイトに仕様が公開されているが、PCI Expressデバイスの転送処理をCPUに代わって実施できるアクセラレーターである
Intel QATそのものはそれこそ2013年のRangeleyにも搭載されている、古くからあるアクセラレーターだが、ここまで性能が上がったのはやはりAiA対応ではないかと思われる
多数の仮想マシンからデバイスを利用できる
次が、これはHotChipsで発表された話だが、SVM(Shared Virtual Memory)とS-IOV(Scalable IO Virtualization)の実装である。SVMそのものは以前からあり、OpenCLなどですでに対応している
S-IOVの仕様そのものは2018年に発表されており、最新版は2020年9月のRevision 1.1となっている
おそらく今回はCXL 1.1の搭載に合わせ、CXLベースのアクセラレーターもSVMを利用できるようになった、という話だろう。一方のS-IOVは、SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)をハードウェア的にアシストすることで、多数のVM(仮想マシン)からデバイスを利用できるようにするというものだ。
大規模なデータセンターサーバーでは、多数のVMがハードウェアを共有して使うケースは珍しくなく、ところがPCI Expressで定められたSR-IOVの機能はそれほど多くのVMからアクセスされることを想定しておらず、これがボトルネックになることがしばしばあった。これを解決するためのものがS-IOVである。

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