初の出荷製品となるMckinleyは
Xeonより性能が悪い
Itanium製品のロードマップを下図に示す。ここから順次説明していく。
Mercedに代わり、2002年6月に発表されたのがItanium 2ことMckinleyである。国内では発売が2002年7月にずれ込んだが、本国では6月末に発売されている。実質的にはこれがItaniumの最初の製品であるが、多少動作周波数やFSB周波数を引き上げたとはいえ、その前年にはFosterベースのXeon(WillametteのXeon版)が発表されており、こと32bitアプリケーションの性能に関してはこのFosterには敵わなかった(おおむね3分の2の動作周波数のPentium IIに同等とされたので、1GHzのItanium 2がだいたい667MHzのPentium II相当である)。
Xeonの側は、2002年2月にはさらに動作周波数を引き上げたPrestonia(NorthwoodのXeon版)を投入、さらにXeon MP向けに3次キャッシュを追加したGallatinを追加投入するなど、どんどん性能改善がなされており、この勢いに追従するのは難しかった。
なんというか、4PのXeon MPと16P構成のItanium 2が同等性能という、やや悲しい状況である。もちろんXeonにはないRAS機能や、64bitメモリーアドレス空間といったメリットはまだ確かにItaniumにはあり、こうした点を買われてシステムとしてリリースはされていた。
とはいえ、性能の劣勢は少しでも削りたい。そこで2003年にはプロセスを130nmに微細化し、動作周波数を引き上げるとともに2次キャッシュを最大6MBまで増やしたMadisonベースのItaniumが投入される。動作周波数もさることながら内部構造の改良もなされ、平均して30~50%の性能改善が可能と説明された。
このMadisonには、派生型としてまずDeerfieldが投入される。Deerfieldはワークステーション向けに低電圧動作としたもので、消費電力は62Wまで下がっている。
もともとHPなどはMickinleyをベースに、なかば無理やりItanium 2ベースのワークステーションを開発していたという話は連載540回でも少し触れたが、130WのCPUをデュアル構成でワークステーション筐体にぶっこむというのは、当時としては電源供給と放熱の両面でチャレンジであり、そうしたニーズに向けたのがDeerfieldというわけだ。
2004年に投入されたHondoは、インテルの製品ではない。これはHPが開発した独自プロセッサーで、2つのMadisonと32MB 4次キャッシュ(これはPentium II/IIIなどと同じようにSRAMチップを実装する形で実現された)を、既存のMadisonのソケットに装着できるようにするモジュールだ。
発表そのものは2003年2月に行なわれたが、出荷は2004年に入ってからとなった。ちなみにこんなものを開発したのはもちろんHPだけであり、対応するのもHPのSX1000というチップセットのみである。
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