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Windows Info 第288回

Windows 11では、Windows 10で追加された数々の新機能が早くもリストラされる

2021年08月15日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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数式入力パネルも廃止だが、存在に気づいていた人はいる?

 Windows 7から搭載されていた「数式入力パネル」もWindows 11では廃止になる。これは、手書きした数式をWordなどに挿入することが可能なツールだ。ただしWordやOneNoteなどのOfficeアプリケーションには、数式入力機能が別にあり、必ずしもこの「数式入力パネル」を使う必要がない。つまり、Officeの数式入力には影響がないということだ。

数式入力パネルでは、手書きした数式をMathML互換形式で出力できる。ちゃんと訂正するときちんとした数式にできるが、手書きしただけだとイコールの右側のようにかなり誤認識がある

 手書きした数式を認識するというのは、ソフトウェア的には高度な機能ではあるが、数式を手書きして入力するということの実用性となると少し疑問もある。というのは、数式を文書に入れるときには、すでに計算し終わっている数式を「清書」するためであることが多く、手書きという入力は、誤認識の問題などもあり、効率的ではないからだ。すでにできている数式を清書したいのであれば、Wordが対応しているようにLatexなどで入力するのほうが手っ取り早い。

 筆者もときどきは一次方程式ぐらいを紙に手書きで計算することはある。この数式入力パネルだと、誤認識があって訂正しなければならないため、それが面倒で何回か使ったあと使うのをやめてしまった。数式を解くような場合、手書きの数式は、きれいに見えている必要はなく、自分だけが理解できればよい。しかし、積分記号が"S"になっているのは訂正しないと何の式だがわからなくなってしまう。あるいは、分数の上と下、等式の左辺、右辺で相殺できる部分を斜線で「消す」といった書き方もする。数式入力パネルは、そういう書き方はできない。

 また数式処理ソフトウェアのように、入力した数式を自動で計算してくれるわけでもない。おそらく、学校の数学の授業のようなものを想定した機能なのだろうが、Windowsの標準機能の中でもほとんど知られていない機能ベスト5に確実に入る機能だ。

 この数式入力パネルは、Windows 7で標準搭載された。Windows XPの世代で開発されたタブレットPC機能は、当初は別エディションだったが、Windows Vistaでは標準機能として組み込まれた。

 Snipping toolやJournal(Windows 10 Ver.1607で廃止)もタブレットPC用に開発され、その後Windowsの標準ツールとなった。こうした旧「タブレットPC」系のツールは、Windows 8でタブレット形状のPCが復活したこと、Windows 10でのペン機能強化などに合わせて置き換えられていく。

 Snipping toolは「切り取り&スケッチ」に、JournalはUWP版の「OneNote(OneNote for Windows 10)」になった。その中で数式入力パネルは、影響をあまり受けなかったツールだが、Windows 11ではその廃止が決まった。また、同じくOneNote for Windows 10も引退が決定している。Windows 11のプレビュー版を見ると「Snipping tool」が残っているが、中身は「切り取り&スケッチ」だ。その意味では、Windows 11では、タブレットPCから続く「ペンアプリケーション」がすべて引退することになる。

Windows 11では、Snipping Toolという名称は残っているものの、中身は「切り取りとスケッチ」に入れ替わっている

 さまざまな機能がWindows 11では消えるが、多くはWindows 10で新たに搭載されたもの。ある意味、年2回の機能追加というペースは“はしゃぎ過ぎ”であった気がする。多くのユーザーにとって、新機能が搭載されることは、決して悪いことではないが、年中アップデートで落ち着きがなく、中途半端なものも多かった。Windows 11で機能アップデートが年1回になるのには、こうしたことへの反省もあるのだろう。

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