VAIO のレジェンド開発者たちに訊く
ブレイクスルーを目指した4面カーボンボディが生まれるまでのぶっちゃけ秘話
――これらを実現するために、カーボンメーカーの東レさんだけでなく、さまざまな人脈をたどったとのことですが。
浅輪 「そうですね。板を成型するところまでは東レさんの関連会社で作業しています。ここまでは従来と変わりません。ここから3D形状になった部品をカットしたり、パームレストのキーボード部分をカットしたりする作業は、普通にやっていくと時間がかかってしまいます。また、どうしても成型の欠点が発生するので、それを修正して塗装する作業が発生します。ただ、塗るだけでなく、そういった修正もやってもらわないといけません。そのために、過去にお付き合いしたことのある工場や、全く新しい委託先を見つけて相談に行く必要がありました。請負工場を探すだけでも苦労しました」
――それらの業者は、カーボンファイバーの加工経験はあったんですか?
浅輪 「いえ、ほとんどが扱ったことはないですね。扱っていたとしてもこんなに薄いものや立体的なものは初めてのようでした。試作段階ではできても量産では当然ばらつきなどで不具合が出てくるので、多くの開発メンバーが製造メーカーさんに張り付いて試行錯誤を重ねました。製造メーカーさんが持つノウハウもありますが、それだけでは対処できないため、われわれが今まで培ってきたカーボンファイバーの知見も活かして新しいことにも取り組みつつお願いしました」
武井 「本当に手探りでした。マグネシウム合金などをCNCで切削加工した経験はあるのですが、薄く立体成型された板ものでかつカーボンファイバーで作られたものを削ることがこんなに難しいとは想像もしませんでした。板ものを成型して立体化すると、どうしても反りなどが発生して、カット後の寸法安定性の面で影響を及ぼします。それを規格内に収めるためにどこを固定して削ればいいのか、その治具はどういう構造にするべきか、どう刃物を動かせばいいのかなど、さまざまなファクターを調整していくつものパターンを試しました。加工方法の最適化も検討し、例えば、キートップが配置される箇所の穴は、プレスで一気にあけているんですが、ほかはCNCで削っています」
浅輪 「加工時間を考えるとCNCだと時間がかかってしまいます。カットするだけを考えると抜きプレスのほうがよいのですがカーボンファイバーの抜きプレスは加工が難しいのです。カットを担当するメーカーさんのノウハウがすばらしく、かなり精度の高い金型を作れたことが大きかったと思います」
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