■(小声で:ナットの仮止めに人生の厳しさを感じがちな皆さんへ)
(ホイールナットの締結手順は3つ。
1. ナットを指で仮止めする
2. (何らかの工具で)ナットを仮締めする
3. トルクレンチで本締めする
インパクトのソケットにナットを差し込み、横着をしてそのままボルトに当てて回すと、そこそこの確率でネジ山を痛める。そこで1の仮止めをやるのだが、ハンドツールでも工具が重いと手元も狂いがちだから、この儀式をやっておくにしくはない。だからどんな工具にもかかるロスタイムとして計時には含めなかった。
ただこの仮止めこそ、私はどうにからないものかと思っている。競技用のロングナットや薄い鉄チンホイールならいいが、アルミホイールのナットホールは深くて狭い。指が入らない上にナットの頭も丸いから、なかなかハマらずポロッと落とすこともある。タイヤ交換の時期はいつも寒いし風も強い。風景も寂寞としており、指もかじかむ。落ちたナットを見つめて惨めな気持ちになることもしばしば。これは一言で言って試練だ。二言言っても良ければ苦行だ。ああ嫌だ。
だから普段は長めのソケットにナットを差し込み、そのソケットを指でつかんで止めてきた。これなら奥まで入るし、ナットも落とさない。それにしても3秒、工具の持ち替えも含めると6秒以上はかかる。
同じ作業も電ドラボールズならずっと簡単だ。指よりナットの当たりがつかみやすく、ドライバーグリップがあるおかげで一発で真っ直ぐに入る。念のため手で少し捻って違和感がなければ、そのままスイッチを入れるだけ。言ってみれば「ナット仮止め機能付き電動スピーダー」のようなものだ。これで1から2まで作業を通してできてしまうのだ。仮にそのリードタイムを6秒として先のデータに加算すれば、合計作業時間は電ドラボールハイスピードが最速だ。
もちろん素人整備においては効率より楽しさが優先されるべきだが、数千円の工具が2万円以上するゴツいインパクトと対等の能力を発揮するのだから楽しい。ここまで小声でのお付き合い、ありがとうございました)
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