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「Radeon RX 5700 XT Challenger Pro 8G OC」と比較検証してみた

冷却性能、静音性ともに優秀なゲーミング向けミドルレンジGPU「Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OC」

文●宮崎真一 編集●市川/ASCII

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ASRock「Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OC」の実力をチェック!

 AMDの新型GPU「Radeon RX 6700 XT」(以下、RX 6700 XT)は、RDNA 2アーキテクチャーで初のミドルレンジ向けGPUということもあり、市場の注目度は高い。それゆえ、市場にはさまざまなRX 6700 XT搭載モデルが登場してきているが、今回はそのなかから、ASRockの「Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OC」(以下、RX 6700 XT Phantom Gaming D OC)を取り上げたい。

 Phantom Gamingは、ASRockがゲーミング向けとして展開しているシリーズだが、はたしてRX 6700 XT搭載カードではどのような特徴があるのだろうか。このRX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、ゲーマーが満足いくだけの仕様を備えているのかどうか、テストにより明らかにしてみたい。

ブースト2622MHzのクロックアップモデル
冷却性能に優れるオリジナルクーラーを採用

 まずは、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、ベースクロックが2457MHz、ゲームクロックが2548MHz、ブーストクロックが2622MHzとなる。リファレンスのベースクロックが2321MHz、ゲームクロックが2424MHz、ブーストクロックが2581MHzである点と比較すると、RX 6700 XT Phantom Gaming D OCは、順に156MHz、124MHz、41MHzと、それぞれ引き上げられたクロックアップモデルということになる。

GPU-Z(Version 2.38.0)の実行結果

「Radeon Software」から仕様を確認したところ

 ビデオメモリーには、GDDR6を12GB搭載しており、ミドルレンジ向けながらも大容量を誇る点はRX 6700 XTを採用した本製品のアドバンテージといえる。なお、メモリークロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。

 カードそのものを見ていくと、カード長は実測で約304mm(※突起物含まず)で、RX 6700 XTリファレンスカードが同268mmだったのに比べると36mmほど長い計算になる。

 また、マザーボードに装着した際、垂直方向にもGPUクーラーが基板から15mmほどはみ出た、背が高いビデオカードとなっている。GPUクーラーの大きさにより、上位モデルほどではないにしても、自重によるビデオカードの歪みを防ぐため、裏面には金属製バックプレートが、GPUクーラーには金属製フレームが装着されている。

裏面には金属製バックプレートが装着されている。このバックプレートは、表側のメモリーチップのある箇所に基板と熱伝導シートで接しており、補強だけでなく裏面からの冷却にも一役買っている

GPUクーラーには、基板との間に挟み込むようにして補強用の金属製フレームが装着されている

 GPUクーラーは、「Phantom Gaming 3X Cooling System」と呼ばれる2.75スロット占有タイプのオリジナル仕様だ。90mm角相当のファンを3基搭載しており、「Striped Axial Fan」と呼ばれるユニークな形状をした羽根も備えている。このStriped Axial Fanは、羽根の表面と裏面で摩擦係数を変化させ、表面に2本の線状の突起物を設けることでエアフローの改善を図っている。また、GPUコアにかかる負荷が低い状態では、ファンの回転を停止する「0dB サイレントクーリング」という機能も用意されている。

中央の1基のみが透明な羽根を採用したファンが特徴的な「Phantom Gaming 3X Cooling System」というオリジナルクーラーを搭載

 さらに、それらのファンの直下に置かれる放熱フィンは、カード前方と後方の2ブロック構造になっている。その内部は、V字形の溝を彫ることで表面積を増大させており、効率的に冷却できるよう工夫されている。さらに、GPU上には銅製のベースが装着されており、そこに5本のヒートパイプが接する構造を採用する。銅製ベースに一度GPUの熱を逃すことで、より効果的な冷却ができるというわけだ。

ビデオカードを後方から見た様子。放熱フィンにあるV字形の部分が「V-shaped Air Vents」で、エアフローの整流性を高めている

 GPUクーラーは、中央の1基のみが透明の羽根を採用し、内部に埋め込まれたアドレサブルRGB対応LEDの光が羽根に反射する構造で、かなり派手な印象。また、側面の「PHANTOM GAMING」ロゴにもLEDが搭載されており、点灯するようになっている。

 さらに、補助電源コネクターのすぐ横には、アドレサブルRGB対応のピンヘッダーが設けられており、本製品とLEDストリップなどを接続することで、発光色や発光パターンを一括制御できる。制御には、付属のアプリケーション「ASRock Polychrome SYNC」(Version 1.0.18)を使用する。LEDの点灯を好まないユーザーがいることも事実で、そういったユーザーに配慮して、LEDのON/OFFを切り替えられるディップスイッチが用意されている点は評価できるポイントだ。

アドレサブルRGB対応ピンヘッダー(写真左)とLEDのON/OFF切り替えスイッチ。ちなみに、このスイッチは補助電源コネクター側がOFF、逆側がONとなる

ASRock Polychrome SYNCでは、カードの側面やファン、それにアドレサブルRGBピンヘッダーのそれぞれに対して、色や光り方の設定を変更可能。もちろん、今回のテストで使用した「X570 PG Velocita」のように、ASRock製のマザーボードと組み合わせることで、これらの設定を一括制御できる

 基板に目を移すと、電源部は11フェーズ構成で、その電源部には「MOSFET」とICドライバーを1パッケージに収めた「Dr.MOS」を使用している。電源部には60Aまでの電流に対応したプレミアムパワーチョークを採用しており、ミドルレンジ向けクラスの製品でこれだけ大電流に対応している点は特筆に値する。さらに、基板には2オンス厚の銅層を採用することで、オーバークロックした際に温度を低く保つことができる。

 補助電源コネクターは8ピンを2基搭載しており、8ピン+6ピン仕様だったRX 6700 XTリファレンスカードから電力供給量が強化されている。また、映像出力インターフェースは、DisplayPort 1.4×3、HDMI 2.1×1という構成で、このあたりはRX 6700 XTリファレンスカードから変わりはない。

補助電源コネクターは8ピン×2仕様。基板からGPUクーラーがはみ出た格好のため、コネクターの実装位置は一段低い位置となっている

映像出力はリファレンスカードと同じだが、本製品のブラケットには排気孔となるスリットが用意されている

ASRock Radeon RX 6700 XT Phantom Gaming D 12GB OCの主なスペック
GPU AMD Radeon RX 6700 XT
PCIeインターフェース PCI Express 4.0 x16
GPUクロック ベースクロック:2457MHz、ゲームクロック:2548MHz、ブーストクロック:2622MHz
メモリー容量 GDDR6 12GB
メモリークロック 16Gbps
メモリーバス幅 192bit
映像出力インターフェース DisplayPort 1.4×3、HDMI 2.1×1
PCIe補助電源コネクター 8ピン×2
カードサイズ/重量 305(L)x 131(W)x 55(H)mm/1187g
推奨電源容量 700W
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