機械学習向けMCU「TENSAI」を発表
そして2018年10月には、いよいよ機械学習向けの機能を統合したMCUであるTENSAIチップをArm TechConの会場で発表する。「TENSAIというのはGenius(天才)の方か、それともDisaster(天災)の方か?」と一応ブースで確認したら「もちろんGeniusの方だ」という答えが返ってきたが、別に同社の経営陣に日系の人が居るわけではないらしい。
さてこのTENSAIチップであるが、この時点ではETA Computeの発想は「単に省電力なだけではIoTノードとして十分ではない。省電力で、しかもEdge AIを実行できる性能が必要になる」という方向に振られることになった。下の画像はこのあたりを端的に示している。
同社が目指すのは、“Extreme Edge”と呼ばれる、一番末端の機器向けである。それなり以上の容量を持つバッテリー、あるいは外部電源が使える機器をEdgeと分類し、それ未満の機器をExtreme Edgeと表現したわけだ。このあたりはArmが言うことろの“Endpoint AI”に近いかと思う。
Exterme Edgeの一例が、パレット(荷物を運ぶ際の台座)に取り付けられるトラッキングデバイスである。ここではAIが「いつ自身の情報を収集して、発信するか」を判断するために用いられることになる。

この連載の記事
-
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ