音質傾向はハイエンドにふさわしいモニター的なもの
すでに海外ではいくつかファーストインプレッション記事が出ている。
CNETでは、音質はハイエンドヘッドホンらしく、タイトな低域や自然な中音域が印象的で比較的広い音場だと述べており、ノイズキャンセリングも最高クラスに良いとしている。
また、The Vergeでは、ほかのハイエンドヘッドホンと比較するのに十分以上の音質とまとめている。過去のアップル製品で、音がいいものと言えば、フィリップスと共同開発したPowerCDとか、ボーズとサブウーファーなどを共同開発した「20th Aniversary Macintosh」(スパルタカス)など、オーディオ専門の他社と共同開発した製品が多かった。今回は、アップルオリジナルの高音質サウンドを期待したいところだ。
最近では旧来の大型スピーカーを中心としたオーディオに対して、イヤホンやヘッドホンによるオーディオが隆盛を極めている。海外ではこれらにデスクトップオーディオを含めた、新たなジャンルとして「Personal Audio」という呼称が定着している。
このようにオーディオの流れが変わったのは、アップルのiPodの登場により、始まったと説明されるのが定説である。それ以前もMP3プレーヤーはたくさんあったが、iPodが「ゲームチェンジャー」としての役割を果たしたのだ。さらにその後の「iTunes Store」の登場は音楽業界さえ変えた。
昨今のワイヤレスイヤホンの隆盛においても、iPhoneがイヤホン端子をいち早く廃止したことや、AirPodsで完全ワイヤレスイヤホンの市場拡大に大きな役割を果たしている。
私などは「有線イヤフォン」という言葉が、普通に使われていることに隔世の感がある。実のところ、AirPods以前にも「EARIN」や「Bragi The Dash」といった完全ワイヤレスイヤホンは市場にあり、DashはIoT機器の先駆けでさえあったが、市場の流れを変えたのはAirPodsだった。
こうして考えると、オーディオ分野においても、ここ15年ほどでアップルの影響力は極めて大きいものになったと言える。そのアップルが出した高額のワイヤレスヘッドホンが「なにを変えるのか」「変えないで終わるのか」「行く末に何があるのか」は、楽しみにしていきたいと考えている。
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