ライバルとなるスズキ「ハスラー」との違いは
タフトのライバルとなるのは、スズキのハスラーだ。ハスラーは2014年に初代モデルが登場し、軽自動車にクロスオーバーSUVというジャンルを切り開いた。タフトと同様に、昨年の東京モーターショーで第2世代のコンセプトが登場。タフトはモックアップの出品であったが、ハスラーは、ほぼ量産車そのままであり、2020年1月に新世代の新型車の発売が始まっている。
ハスラーとタフトの大きな違いはキャラクターだ。窓が大きくキュートなハスラーに対して、タフトはクーペのような雰囲気がある。ガラス・エリアの小ささを「スカイフィールド」でカバーするのがタフトの特徴だ。パワートレイン的には、ハスラーが2次電池を使うマイルドハイブリッドを使うのに対して、タフトはハイブリッドの用意がない。そのため燃費性能はハスラーが一枚上手となる。一方、タフトは電動パーキングブレーキやオートブレーキホルードという装備で勝る。そして、先進運転支援の充実度は両車互角と言っていい。
丸い目(ヘッドライト)でルーミーなハスラーは燃費性能が優れ、角ヘッドライトでクーペ風のタフトはクールさとスカイフィールドルーフの解放感が魅力となる。内容的には良い勝負ではないかと思う。
軽自動車にもSUVのムーブメントが到来
これまで、軽自動車のクロスオーバーSUVといえばハスラーの独断場であった。しかも、今年1月に登場した第2世代のハスラーは、相当に売れている。なんと1~6月の販売ランキングで4位に食い込んだ。ちなみに、軽自動車の売れ筋は、ここ数年すっかりハイトワゴンからスーパーハイトワゴンに移っている。今年1~6月の販売トップ3は、1位がホンダのN-BOX、2位がスズキのスペーシア、3位が日産のルークス。3台ともスライドドアを持つ、背の高いスーパーハイトワゴン。その次がクロスオーバーSUVのハスラーとなる。
ここに6月発売のタフトが参戦。ハスラーが唯一の存在であったクロスオーバーSUVにタフトが加わるのだ。ライバルが競ってこそ、ムーブメントは生まれる。そういう意味で、タフトの参戦によって、俄然、軽自動車のクロスオーバーSUVの注目度は高まった。この2台が売れるようになれば、ホンダや日産、三菱からもクロスオーバーSUVが登場する可能性は高まる。そうなれば、現在の売れ筋であるスーパーハイトワゴンの立場を、クロスオーバーSUVが奪取することになるだろう。
なんといっても、普通車の世界では、すでにSUVがトレンドとなっているのだ。軽自動車も同じようにならない方が逆におかしい。今回のタフトの試乗では、その走行性能の高まりと先進運転支援システムの充実度に驚いた。これならば、高速道路の移動が中心の人であっても、タフトをファーストカーとして利用できる。これまでの軽自動車ユーザーだけでなく、小型車からの乗り換え組も増えることだろう。今回の試乗で、そうした新しいムーブメントを起こす力をタフトからは感じられたのだ。
筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
この連載の記事
- 第684回
自動車
往復で充電6回!? ホンダ「N-ONE e:」で東京〜セントレアを走破してわかった、軽EVのリアルなコスパ - 第683回
自動車
家族を乗せてサーキットへ!? 実用性と狂気を併せ持つ「GRカローラ 25式後期」の完成度 - 第682回
自動車
航続320kmでフル装備! BYDの軽EV「RACCO」は日本の軽自動車の“聖域”をどう切り崩すか - 第681回
自動車
Jeep「コマンダー」はガラガラ音も愛おしい。純ディーゼル搭載の7人乗りSUVが教えてくれる心のゆとり - 第680回
自動車
「OK Google」が軽自動車で使える感動。日産「ルークス」が激戦区で選ばれる3つの理由 - 第679回
自動車
330万円から!? マツダ新型CX-5が「今年のSUV最高傑作」と断言できる理由 - 第678回
自動車
EVである前に軽自動車。スズキ「eSKY」が示す、日本の日常に寄り添う最適解 - 第677回
自動車
「ついに911、お前もか…」伝統の変化を嘆く前に乗るべき、約2000万円の超ピュアな「カレラT」 - 第676回
自動車
メーカーチューンの理想形! 2L化した特別ロードスター「12R」が魅せる至高の人馬一体 - 第675回
自動車
街乗りは不便でも悪路走破性は最強! ファミリーカー目線で斬る「ジムニー ノマド」のリアルな実力






