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1チャンネルに最大20社が参加しコラボレーションできる新機能が登場、メールからの解放を狙う

SlackのCEOに聞いた、新発表「Slackコネクト」の狙いと意義

2020年06月26日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「Slackコネクトは、現在のSlackの利用形態を超えるものになる」

 Slackコネクトは、実に4年以上をかけて開発してきたコラボレーション環境だ。CEOのバターフィールド氏に、その意義や狙いなどを聞いてみた。

――Slackコネクトを開発した背景、意図は何でしょうか。昨年から提供している共有チャンネルとの違いは。

バターフィールド氏:まず、現在の企業では大量のメッセージがやり取りされるようになっている。Slackの場合、ピーク時には1秒間に6500万件ものメッセージがやり取りされている。その一方で、社外へのデータ漏洩やセキュリティ問題は許されない。

 共有チャンネルの最初のバージョンを開発している際、これからは指数関数的に“複雑さ”が増していくだろうと感じた。たとえばある企業では、従業員がやり取りするすべてのメッセージのコピーを保持しなければならない、データそのものもすべて国内に保管しなければならないといった法規制がある。

 そこで、新たな情報インフラが必要だと考え開発したのがSlackコネクトだ。最大20の企業間でチャンネルを共有できるほか、組織を超えてダイレクトメッセージも送ることも可能だ。共有チャンネルで情報を共有しながら、自社専用の暗号鍵を使って情報へのアクセスを細かく制御できるし、ワークフローやアプリケーションを実行することもできる。これにより、単なるコミュニケーションではなく、請求書や注文書のやり取り、コラボレーションへとつながるだろう。

複数の企業間で共同プレスリリースの内容を承認するワークフローの例

――Slackコネクトの登場によって、Slackの位置付けはどう変わるのでしょうか?

バターフィールド氏:Slackコネクトは共有チャンネルの先を行くものであり、現在のSlackの利用形態を超えるものになると見ている。われわれはこれを「新しい基盤」と位置付けており、素晴らしいロードマップを持っている。

 Slackコネクトによって生産性とコミュニケーションが改善すると同時に、安全性も備えている。したがって、顧客に提供するにあたっては単なるコラボレーションツールよりもベターなプロダクトとして提案できる。

 たとえば、企業にとってはフィッシングや詐欺行為がいまだに大きな問題だが、その多くは身元を偽ったメールが引き金となって発生している。一方で、Slackコネクトではあらかじめ認証済みの、きちんと確認されたメンバーとだけやり取りすることになる。これはセキュリティやコンプライアンスの面で大きなメリットになるだろう。

――Slackコネクトには、具体的にどのような使い方がありますか?

バターフィールド氏:わたし自身が使った例を教えよう。わたしと17人のSaaS企業トップがSlackコネクトで共有チャンネルに参加し、最初は新型コロナウイルスへの対応などについて話し合っていた。そのうち、CFOやCMO、CHRO(最高人事責任者)など役割ごとに新たな共有チャンネルができ、各社の幹部がそれぞれのトピックについて情報共有をしたり、意見交換をしたりし始めた。

 これはSlackの特徴だが、新たな参加メンバーが入っても、それまでのやり取りの履歴をさかのぼって見れば議論の方向性がわかる。また、組織を超えたやり取りではあるが、(チャンネルを閲覧すればすべてのやり取りが記録されているので)セキュリティ部門や法務部門は、ほかのツールよりも安全だと喜んでいる。

――Slackコネクトに関して、機能強化など今後の計画はどうでしょうか?

バターフィールド氏:認証関連でさらなる強化が考えられる。また、より深いレベルのコラボレーションも実現していきたい。現在は1つのチャンネルに参加できるのは20社までだが、これを増やすことも考えられる。

――日本ではこれまでも共有チャンネルの人気がありました。Slackコネクトでの日本市場への期待は?

バターフィールド氏:日本は(米国に次いで)2番目に大きな市場で、引き続き成長している。Slackコネクトに対する反応も楽しみにしている。

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