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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第91回

iPhone SEはiPhone 11ユーザーが「これでいいじゃん」と思える出来

2020年04月16日 16時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII

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●A13 Bionicがすごい

 iPhone SEを乱暴に紹介すれば、iPhone 11の性能を、iPhone 8のボディに詰め込んだスマートフォンです。A13 Bionicチップが搭載された点で、廉価版iPhoneの性能は飛躍的に高まりました。

 iPhone SEのライバルは、ズバリ「過去のiPhone」です。当初2年だった買い換えサイクルは長期化しており、また新興国市場では中古のiPhoneも展開されており、こうしたユーザーを3年かけて、機械学習処理に強いスマートフォンへリプレイスしていくことがポイントでしょう。

 A13 Bionicチップは、処理性能とグラフィックス性能の比較は、大まかに次の通りです。

・ A8(iPhone 6):処理性能 4倍、グラフィックス性能 10倍
・ A9(iPhone 6s、iPhone SE第1世代):処理性能 2.4倍、グラフィックス性能 4倍
・ A10 Fusion(iPhone 7):処理性能 1.8倍、グラフィックス性能 2.8倍
・ A11 Bionic(iPhone 8、iPhone X):処理性能 1.4倍、グラフィックス性能 2倍

 こうして見てくると、ターゲットとなっているユーザーはA8やA9、A10あたりを使っているユーザーで、特に2014年モデルのiPhone 6を持っている人はまったく別のレベルのパフォーマンスになっているかもしれません。

 そして重要なことは、A10以前のユーザーの乗り換えが進むことで、機械学習処理を担当するニューラルエンジン搭載のモデルが大きく増加していくことです。

 アップルはARkitやCoreMLを生かしたアプリを開発者に推奨していますが、プラットホームとして、これらを快適に動作させるスマートフォンの普及に努めなければなりません。最も価格が安いモデルにもニューラルエンジンが搭載されることは、開発者にとって、快適なアプリ実行環境が拡がることから、新しいスタイルのアプリの開発を後押ししていくことになると考えています。

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