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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第91回

iPhone SEはiPhone 11ユーザーが「これでいいじゃん」と思える出来

2020年04月16日 16時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII

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●カメラは新たな実装でiPhone 11レベルを再現

 iPhone 11ユーザーが一時的にあっても「これでいいじゃん」と思えるほどの体験になるという新しいiPhone SE。その大きな理由は、A13 Bionicを生かし切った新しいカメラ実装です。

 iPhone SEには1200万画素のカメラを搭載しますが、iPhone XRで搭載されたように、1つのカメラでの人物ポートレート撮影に対応しています。しかしプロセッサの世代が1つ上がっていることから、iPhone 11で実現している「セマンティックレンダリング」でより多くの画像解析と処理をするのです。

 これに関しては、ここ数年のiPhoneのカメラの経験から照らすと、非常に胸が熱くなる実装と言えます。価格を安くすること、そして差別化のため、カメラを1つにとどめたデバイスをプロセッサとソフトウェアの力によって強化する。コンピュータを用いた写真撮影のピュアな実力を見ることができるというわけです。

 カメラ1つのiPhone XRと2つのiPhone XSは、ともにアウトカメラでポートレートモードを実現し、物理的なデバイスをコンピュータ処理で補う様子が見られました。しかしiPhone 11では超広角カメラが搭載され、2つのカメラを同時に用いたコンピュータ処理がアシストとする写真を実現し、iPhone XSと比較しても見違えるほどの写りに驚きました。

 その経験があったので、1つのカメラのiPhoneを使ってきたユーザーにとっては、おそらくiPhone SEのカメラの写りは非線形の進化を感じるほど、ディテール、発色、逆光処理の予測があると予測しています。

 カメラの数に依存するナイトモードや、撮影後のフレームの拡大には対応できませんが、暗所も含めて、iPhone SE初代、あるいはiPhone 8から飛躍的に良くなるでしょう。はやく試してみたいですね。

 ズームレンズを持ち歩いていた人が、単焦点カメラで警戒にスナップしても楽しいように、iPhone 11ユーザーであっても、iPhone SEのカメラ、そして小さめの端末の体験は、楽しめるものになるはず。であれば、それ以前のスマートフォンを使っている人が、満足しないはずはないでしょう。

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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