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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第71回

さよならジョナサン・アイブ:

アップル製品が分厚くなったワケ

2019年12月09日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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●iPad Proを見よ

 筆者がこのアイデアの例として最適だと感じているのは、2018年に登場したiPad Proです。2019年は刷新されませんでしたが、A12X Bionicチップを搭載し、アップルのAシリーズチップ搭載デバイスでは最強モデルとなっています。

 しかし、注目すべきはそのデザインです。以前も指摘しましたが、すでに角が落とされた長方形の板でしかありません。カメラの出っ張りは残っていますが、5.9mmの厚さも均等で、ボディの曲面は角にしかありません。ディスプレー側にはホームボタンがなくなり、Face IDを実現するTrueDepthカメラが埋め込まれましたが、ガラス1枚があるだけです。

 ここまで来ると、薄くなる、大きくなる、小さくなる、素材を変える、といった変化があったとしても、iPad Proの現在のデザイン自体を変化させるモデルチェンジは当面訪れないでしょう。そして、iPad Air、iPad miniのミドルレンジの製品を、現在のiPad Proにちなんだデザインへと変化させていくことになるでしょう。

 アイブ時代、デバイスはとにかくシンプルな形状へ、薄型へ、という方向性が「進化」でした。そのため、iPhoneもiPadも、Macも、とにかく薄くなる方向へと向かっていきました。iPhoneについても、形状自体はiPhone 6から変わらない、ラウンドエッジの持ちやすいデザインが採用されています。

 裏を返せば、色や素材、サイズが変わっていますが、2014年からの5年間、iPhoneはそのデザインを大きく変えていない、ということになります。もしスマートフォンに形の新しさを求めるなら、iPhoneはつまらない存在かもしれません。しかしiPhoneが生活ツールとして定着すればするほど、奇抜さよりもイメージが変わらない存在感が重視される。そんなメッセージが伝わってきます。

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