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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第533回

創業時の業種をすべて捨てたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年10月21日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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創業時の業種をすべて捨て
コンピューターメーカーになる

 さて、HPの方向性を“Information Utility”と“Information Appliance”だ、と宣言したものの、Platt氏が思い描く製品やサービスのすべてを当時のHP社内で提供できたわけではなかった。そこでここから氏はYoung氏時代にもまして企業買収を進めていく。1998年までの範囲で主要なものを並べても、以下の24社にもおよぶ。

Platt氏が1998年までに買収した24の企業
企業 業種
米Four Pi Systems Corp 自動テスト装置
米Metrix Network Systems ネットワーキング
米BT&D Technologies PC向け各種周辺機器
米EEsof Inc. コンピューターソフトウェア
米Versatest 自動テスト装置
加Canstar Systems アルカテルカナダの子会社のFiber Channel Switch部門
米CaLan Inc. 自動テスト装置
米Convex Computer サーバー
米ElseWare Corp. ソフトウェア開発環境
米SecureWare Internet security division セキュリティソフトウェア
米Graphics technology Parametric Technology Corporationのグラフィックハードウェア部門
米Division Inc. ソフトウェア開発環境
米DP-Tek Development 画像処理
米Trellis Software & Controls モーションコントロール
米VeriFone 電子決済
蘭PROLIN 情報システム
米Internet printing technology ForeFront Groupのインターネット印刷部門
米Nuview ManageX Nuview Inc.からBPM(ビジネスプロセスマネジメントソフト
米Optimazation systems ソフトウェア
南アフリカSiltek 情報システム
米Heartstream 医療機器
イスラエルComputing & Measurement Systems コンピューターシステム
米Scope Communications Inc. ケーブルテスター
米Open Skies, Inc. ソフトウェア

 このうちConvexに関しては連載345回で説明した通りだ。当時HPはHP 9000シリーズこそ抱えていたものの、その上位にリーチする方法がなく、HPC市場は指を咥えているしかなかったが、Convexの買収で(実績はともかくとして)一応リーチするための手段を手に入れたことになる。

 それはともかくこうして並べてみると、かつては大黒柱であった計測器部門に関わる買収が非常に少なく、ほとんどがコンピューターシステム向けであったことがわかる。

 この流れをさらに加速したのが1999年におけるAgilent Technologiesの分社化と、翌2000年の株式売却にともなう独立である。

 1999年、HP(というか、Platt氏)はHPの将来をコンピューターにあると見定めた上で、コンピューターおよびプリンター部門のみをHPに残し、残りの計測機器や化学分析機器、医療機器、電子部品といった全部門をAgilent Technologyという新会社に移管して独立させ、2000年にはそのAgilent Technologyの株をすべて売却した。

 この売却にともなう新規公開株式の総額は21億ドルになったそうで、当時としては記録的な金額である。これにより、HPは創業の業種を捨て、完全にコンピューターメーカーになったことになる。

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