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Windows Info 第189回

Windows 10のUWPアプリのファイルから情報を取り出す

2019年09月08日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

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 今回は、UWPアプリの基本情報を保持するAppxManifest.xmlを解析して、一連のUWP解析の最後としたい。さて、このAppxManifest.xmlだが、Appx自体、Windows 8のストアアプリ用に作られたものであるため、このxmlファイルもストアアプリの時代から存在しており、そのため、複雑な仕様を持つ。その仕様については、Microsoftのサイトに仕様書がある。

●Package manifest schema reference for Windows 10
 https://docs.microsoft.com/ja-jp/uwp/schemas/appxpackage/uapmanifestschema/schema-root

 それによれば、アプリの名前は<DisplayName>タグにあることになっているのだが、これとは別にタイル用の定義が<uap:VisualElements>にある。このAppxManifest.xmlを扱うときに注意するのは、XMLネームスペース(XML Namespace、xmlns)が使われていることだ。

 <uap:VisualElements>の先頭の「uap:」という部分がXMLネームスペースで、簡単にいうと、タグに複数の定義があるときに、ネームスペースを付けることでそれぞれを区別するためのものだ。前回のようにselectNodes()とXPathを使う方法は、ネームスペースがあるとアクセスが面倒になる。

 具体的には、ネームスペースをXMLNamespaceManagerというオブジェクトに設定して、これをXPathと併用してSelectNodes()を使う必要がある。XPathが使えると「なんでもいいから属性DisplayNameを持ってるタグ」といった指定が使えて簡単で、かつ、XMLファイルの構造変化にも対応しやすいのだが、今回は、それ以外の方法を使う。

まずは、実際にどうなっているのか調べる

 xmlファイルとはいえテキストファイルなので、単に行を取り出す程度の調査は比較的簡単できる。UWPアプリがインストールされている「C:\Program Files\WindowsApps\」を管理者権限で起動したPowershellで開く。以下のコマンドで、そこにインストールされているアプリのAppxManifest.xmlファイルからすべての<VisualElements>タグを表示させることができる。select-stringでは検索パターンに正規表現が使える。

Select-String ".\*_x64_*\AppxManifest.xml" -Pattern '\<.*VisualElements.*DisplayName=' | Out-GridView

 前述の仕様書上は、<uap:VisualElements>というタグになっているが、ネームスペースがないもの、あっても、“uap:”以外のものがある。

out-gridviewを使うとコマンドからの大量の出力を別ウィンドウにすることができる。また、Gridviewでは、条件を設定して、表示する行を絞り込むことも可能だ。写真右下の3つ目のウィンドウで先頭にuapがないVisualElementsタグのみを表示させた。このうちの1つはマイクロソフト製のXbox One SmartGlassアプリである

 サードパーティのアプリならば、まあ、よしとしようが、ネームスペースがないアプリの1つは、こともあろうかマイクロソフト製である。

DisplayNameタグを取り出す

 まずは、簡単な方法として<DisplayName>タグを表示させる。まずは、appxmainfest.xmlを変数に読み込む部分だが、こちらは、専用のコマンドGet-AppxPackageManifestがある。変数$Manifestに読み込むとしたら、

$Manifest = Get-AppxPackage "*Messaging*" | Get-AppxPackageManifest

とする。「*Messaging*」は、パッケージ名の一部を表す文字列だ。正確にパッケージ名を指定してもいいのだが、Get-AppxPackageの場合には、このようにワイルドカードを含んだ指定が可能。これに対して、Get-AppxPackageManifestは、正確にパッケージ名を指定する必要があるため、Get-AppxPackageコマンドが出力するオブジェクトをパイプで渡している。

 これはXMLオブジェクトとして出力されるので、キャストは不要である。こうしてXMLファイルを$Manifest変数に読み込ませれば、前回解説したように、タグ名をピリオドでつないでいけば、タグの値を得ることができる。前述の<DisplayName>タグなら、

$Manifest.Package.Properties.DisplayName

とすればよい。

前回解説したように、Powershellでは、変数にXMLを読み込んでXMLオブジェクトとして認識させれば、タグ名をプロパティのようにピリオドで区切ってアクセスできるようになる

 この方法は簡単で、PowerShellがXMLオブジェクトと認識している状態では、タブキーによるタグ名の補完なども使えるのだが、階層構造に依存する記述方法になる。このXMLをPowershellのオブジェクトとして扱う方法では、階層構造が変わると、アクセスができず、かといってエラーにもならず、何もないことを示すNULLを返す。このため、スクリプトなどで処理しようとすると、エラーにならないけど、答えも出ないといったものになってしまい、結構デバッグが面倒な状態になる。

 仕様書を見る限り、この構造は変わらないようなので、正しく作られたAppxManifestであれば、これでアクセスができる、はずであるが、前述のようにルールに従っていないタグが使われているようなので、注意は必要だ。

●AppxManifest.xml DisplayNameタグ
 https://docs.microsoft.com/ja-jp/uwp/schemas/appxpackage/uapmanifestschema/element-displayname

 実際に<DisplayName>タグではどういう定義がされているのかを調べてみよう。Get-AppxPackageでインストールされているアプリを列挙し、Get-AppxPackageManifestで得たXMLオブジェクトに対して直接<DisplayName>タグを表示させてみる。

(Get-AppxPackage -PackageTypeFilter Main | Get-AppxPackageManifest).Package.Properties.DisplayName | Out-GridView

 このコマンドの出力結果が、以下の画面だ。

インストールされている通常UWPアプリのDisplayNameタグを表示させてみた。ms-resource:で始まるものは、情報がリソースファイル側にあることを示す。そうでないものは、直接名前が指定されている

 これを見ると、大半は各国語にローカライズするために「ms-resource:」で始まるリソース指定になっているが、中には、英語名しか指定していないものや、直接日本語で名前が指定されているものもある。

 特定のUWPアプリのAppxManifest.xmlが変数$Manifestに読み込まれているなら、

$Manifest.Package.Properties.DisplayName

とすることで、<DisplayName>タグの値を取り出すことが可能だ。

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