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石川温のPCスマホニュース解説 第50回

携帯基地局の整備に遅れが出ている:

楽天がキャリアになっても「つながらない」では無意味だ

2019年08月16日 09時00分更新

文● 石川温

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●「つながらない」では回復が困難

 楽天のキャリア参入は、官邸、特に菅官房長官の肝煎りとも言われている。大手3キャリアが競争をせず、通信料金が高止まりしていると言われている中、4社目として楽天に参入させることで、料金競争を引き起こそうというわけだ。

 実際に菅官房長官はかつて「楽天が参入する10月には通信料金は下がるのではないか」と語っていただけに、楽天に対して相当な期待を抱いているようだ。

 楽天としても、菅官房長官の顔に泥を塗るわけにもいかず、10月のサービス開始を死守しなくてはならない。

 とはいえ、このまま基地局の数もままならない中、見切り発車的にサービスを開始してしまっては、どんなに通信料金が安くても「つながらない」という評価となり、楽天ブランドを一気に毀損することにもなりかねない。一度「つながらない」という評価になり、SNSで拡散してしまっては、どんなにネットワーク品質を改善しても、ブランドを回復するのは困難だ。

 過去を振り返ると、どんなに通信料金が安くても「つながらない」というレッテルを貼られてしまったPHSは、3社が1社になり、その1社もソフトバンクに救済されて姿を消した。そのソフトバンクも、ボーダフォンを買収して参入したものの、買収したあとにネットワークがボロボロであった事実がわかった。

 ソフトバンクとしては「ホワイトプラン」で安い料金を提供し、さらにiPhoneを独占的に取り扱ったものの、「ネットワークが不安」ということで、NTTドコモからiPhoneを出るのを何年も待った人がいたほどだ。

 それだけ、日本のユーザーは高い通信料金を支払っても「どこでもつながるケータイ、スマホ」を欲しがるのだ。

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