迫力のエアロダイナミクス
ヤリスWRCで目を惹くのはそのエアロダイナミズムだ。積極的にダウンフォースを稼ぐ設計で、特にリアウィングはメインプレートの上にアーチ形ウィングがまたがる2段式で、左右には小型のサブウィングを装備する凝りよう。リアフェンダーには14枚のフィンが設けられているのも特筆すべき点だ。
2018年型はオーバーヒート対策とリア寄りだったフロントバンパーのラジエーターダクトを台形から長方形に変更。両サイドのカナードが2段となり、フロントフェンダーの開口部もリア同様に複雑なデザインへと変わった。
意外にも快適なトヨタ・ヤリスWRCの室内
さて、助手席に乗り込もうとすると「意外とすんなり乗り込める」ことに驚いた。レーシングカーはロールゲージとフルバケットシートにより乗りづらい、大柄な人では体格的に乗り込めない、といったことがあるのだが、トヨタ・ヤリスWRCはそのようなことはない。車内は横方向に狭く、縦方向と上下方向に広い印象。運転席、助手席のシートが中央に寄っており、軽自動車よりも密着している。
シートはかなり後方に位置しており、ダッシュボードを触ろうにも触れることすらできない。ダッシュボードには荒目のフェルトが貼られており、窓ガラスへの反射が抑えられている。なによりシート位置が低く、フロントガラスからの景色はかなり狭い。感覚としてはヴィッツのリアシートから景色を見ているようだ。
特異なのは足元。銀色のボールの内側に足を置くなという指示があるフットレストの左側に、コ・ドライバー用のMoTeC製カラーディスプレーを配置。右太もも付近に、メインスイッチを始めとする各種スイッチ類を備える。ドライバー側に目をやると、オルガン式3ペダルが見てとれる。
そのまま運転席に目をやると、メーターパネルはカーボンで塞がれており、ステアリングコラム上にMoTeC製のディスプレーが置かれるのみ。それもシフトインジケーターしか表示しないという潔さで、レブリミットになると赤く点滅する程度。スピードメーターやタコメーターといったものが一切ないことに驚いた。
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