年々悪化するハードウェア部門の売上
2018年の年次報告を見ると、Systems(Technology ServicesはCloud Platformsとあわせて別部門になった)の売上は80億3400万ドル、粗利率40.5%を誇る。ただIBM全体としての2018年の売上は795億9100万ドルで、売上全体に占める割合は10%ほどでしかない。
しかも細かく数字を見ると、このうち純粋にハードウェア(IBM Z/Power System/Storage System)は63億6300万ドルで、他にOSなどのソフトウェアが16億7100万ドルとなっているので、厳密な意味でのハードウェアの売上は売上全体の8%ほどにまで低下している。
Storage Systemは、SANやNAS向けのコントローラーとストレージそのものなので除外すると、現在もまだ製造・販売を続けているのはメインフレームであるIBM Zと、POWERプロセッサーを利用したPower Systemの2系統である。
ただ金額はIBM社内で見れば少ない方だが、IBMから売却されたLenovoの状況を見てみると、たとえば2018年度(2017年4月1日~2018年3月31日なので、IBMとは期間がずれていることに注意されたい)の年次報告によれば、総売上は453億5000万ドルで、粗利は62億7200万ドル、税引前利益は1億5300万ドルでしかない。
そこから税金が引かれた結果、税引き後は1億2700万ドルの損失。ちなみに2017年度は税引き後に5億3000万ドルの利益だったので1年でずいぶん悪化した気がするが、よく見たら2017年度は営業外収入が4億5000万ドルほどあったのが2018年度はなくなったのが最大の要因のようだ。これに比べるとIBMの収益の優秀さが良くわかる。
この連載の記事
-
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ - この連載の一覧へ