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カメラの祭典「CP+ 2019」現地完全レポート = 今年のカメラ業界がまるっとわかった!!

2019年03月05日 18時00分更新

文● 写真 小山安博 + カメラ特捜班

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 カメラと写真の展示会として、国内最大規模のイベント「CP+2019」が今年もパシフィコ横浜で2月28日から3月3日まで開催され、約7万人の来場があった。今年のテーマは、ズバリ「フルサイズ・ミラーレス」。各社が新製品を大々的にアピールしていた。

フルサイズ・ミラーレスでソニーを追う各社と
独自路線で戦う富士・オリンパス・リコー

 フルサイズ・ミラーレスといえば、現在のシェアトップはソニー。Eマウントによるαシリーズが先行しており、これまでの王者だったキヤノンやニコンはそれを追う立場になっている。それにパナソニックやシグマ、ライカ(ブース出展はなし)のLマウントアライアンス陣営がフルサイズミラーレスを投入するという、まさに全メーカーあげてのフルサイズ・ミラーレス祭りだ。

ソニーブース。α9、α7シリーズや新製品のα6400が中心

コンパクトなAPS-Cセンサー搭載ミラーレスカメラだが、機能は充実している

 それに対して、オリンパスはマイクロフォーサーズ一本で注力し、富士フイルムはAPS-Cと、フルサイズを飛び越えた中判ミラーレスで独自色を打ち出す。リコーは中判やAPS-Cのデジタル一眼レフを継続しつつ、APS-Cセンサー搭載のコンパクトデジカメGR IIIがブースの中心となっていた。

 こうした各社の取り組みの中で、注目度の高さはやはりフルサイズ・ミラーレスが一番だった。特にニコンのNikon Zシリーズ、キヤノンのEOS Rシリーズ、パナソニックのLUMIX Sシリーズは、新機種の投入が直近だったり、まだ1年にも満たなかったりということもあって、ブースには多くの人が詰めかけていた。

ニコンブース

Nikon Z 6と新レンズのNIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 ニコンはボディの新製品はなかったものの、CP+にあわせてZマウントレンズを2本発表し、それが試用できる環境を整えていたが、それにも増して開発中の「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」が注目の的だった。

大柄で58mm F0.95というスペックで人気だったNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct

 1977年の銘レンズ「Noct」ブランドの再現を目指したというレンズは、開放F値がF0.95という明るいレンズで、独特の世界観を作り出せるレンズとして、年内発売が楽しみなレンズ。光学性能としてはほぼ完成している状態ということなので、実際の製品版に近い画質を体験できた。

 キヤノンブースは、EOS RとEOS RPの2枚看板でアピール。EOS Rの特徴を詳しく説明するコーナーも設けて新マウントをアピールしていたほか、このところ展示会で出展しているコンセプトモデルも紹介し、本格的な写真撮影だけでなく、カメラの楽しみを拡大させる取り組みも見せていた。

開発中のRFマウントレンズが並べられたキヤノンブース

中心となっていたのはEOS RとEOS RPの2モデル

コンセプトモデルとして展示されていたカメラ群。これは海外でアウトドアアクティビティカメラとして出展されていたもの。日本で「ソトアソビカメラ」と名付けられていた。100ドル未満、日本円では1万円程度の価格を想定する

インテリジェントコンパクトカメラは、自動で顔を追いかけて撮影したり、アクションカメラ的に利用したり、さまざまな用途で使えるカメラ。こういうクラスでは珍しい光学ズームを搭載

キッズミッションカメラは、子供向けのカメラだが、子供にミッションを与えて撮影してもらったり、プリントして楽しんだりと、小さい頃からカメラに親しむことを想定したカメラ。海外発表時に比べてカラーバリエーションが増えた

昨年、海外で展示されていたマルチファンクショナルテレフォトカメラ。100mmと400mm相当の望遠レンズを搭載し、レンズを切り替える仕組み

こちらは試作機なので本体は大きいが、背面は片目でのぞき込むと液晶モニタが見える。単体ではスポーツ観戦での単眼鏡のような用途も想定しているという。スマートフォンと直接接続し、ディスプレイを使って超高倍率ズーム撮影をすることも可能。光学倍率はまだ検討中らしい

 パナソニックは、キヤノン、ニコンとも引けを取らない人気ぶり。同社のフルサイズカメラは初めてだが、ライカ、シグマという特徴的な企業とアライアンスを組み、ライカのLマウントを拡張したカメラということで、来場者の注目度が高いようだった。

パナソニックブース

やはり人気だったLUMIX S1/S1R

 そのLUMIX Sシリーズは、ボディもレンズもハイエンドなLUMIX S1/S1Rを出展。高画素と高感度という特徴の2モデルで、両モデルとも30万円オーバーと高級機の位置づけ。レンズは3本で、キットレンズでもある標準ズームレンズでも16万円台と、決して安価ではない。

 さらに同時発表の2本のレンズは、「Certified by LEICA」のロゴが付与されており、ライカ品質のレンズである。もちろん、ブースでは3本のレンズをいずれも試すことができ、やはり多くの来場者を集めていた。

 Lマウント・アライアンスでは、シグマもカメラとレンズを発売予定で、CP+向けに既存のレンズをLマウント化したレンズ群を発表したほか、EF、SAマウント向けのマウントアダプターも発表した。

キヤノンとシグマの一眼レフ用レンズをLマウントへ変換するSIGMA MOUNT CONVERTER MC-21

ライカ、パナソニックのそれぞれLマウントカメラも展示されていたのが面白い

シグマのArtラインレンズを11本、Lマウント向けにも発売する

 ただし、2019年投入予定だった同社製のLマウント採用カメラは、センサー開発の遅れにより2020年へと発売が延期された。同社の山木和人社長は、新カメラで採用予定のフルサイズFoveonセンサーは約2000万画素×3の6090万画素という3層構造になることを明らかにしており、シグマらしい高い解像力を持ったカメラになりそうだ。

 マイクロフォーサーズで1人気を吐くオリンパスも最新のプロ向けモデル「OM-D E-M1X」を中心としたブース展開でガッチリとファンを逃さない。フルサイズ・ミラーレスが人気の中、マイクロフォーサーズならではの機動性や高い手ブレ補正性能などをアピールしていた。

オリンパスはE-M1Xが中心の展示

参考出品の「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」。手前は「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」

 参考出品としては、1月に発表されていた「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を展示。1.25倍のテレコンバーターを内蔵しており、35mm判換算で1000mmをカバーしつつコンパクトなレンズとしてアピール。同時に「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」も展示していた。

 富士フイルムは昨年9月にフォトキナで発表した1億画素の中判ミラーレス「GFX 100 MEGAPIXLES」をケース内に展示。参考出品としてはレンズとして「XF33mmF1 R WR」をこちらもケース内に展示していた。ブースはGFXシリーズとXシリーズが中心で、個人的には、よりコンパクトなサイズを実現した新製品「X-T30」が注目だった。

1億画素という桁違いの画素数の中判カメラ

参考出品はXF33mmF1 R WRと、こちらもとんでもなさそうなレンズ

 GR IIIとTHETA Z1という独特のカメラを前面に打ち出したリコーブースも人気だったが、基本的にはフルサイズミラーレスやプロ向けなどの高級路線が目立ったCP+だった。もともと、こうした展示会ではハイエンドモデルの方が来場者の目を引きやすい。その意味では盛り上がったのは確かである。

途切れなく試用する人が並んでいたリコーのGR III。歴代GRを並べた展示も。GR IIIは一番奥の下段にある

発表されたばかりの360度カメラTHETA Z1も人気だった

 ただ、今後のカメラ業界を占う上で、こうしたハイエンドの機能をを一般層まで拡大するか、キヤノンのコンセプトカメラのような新たな使い方を提案できるか、そうした方向性の提案ももっと欲しいところだと感じた。

マウスコンピューターは写真好きのためのGTX搭載軽量ノートなどを参考出品して注目を集めていた。

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