「コレジャナイ」気もする外見
別添えの温泉玉子にもとまどう
なんだろう。これは……いや、バジルチキンライスを注文したはずだ。ラーメンやチャーハンが運ばれてきたわけでもないのに、どうしてこんな気分になるのか。……というか、これはなんだ?
たぶん、自分の想像していたバジルチキンライス(≒ガパオライス)とかなり違うものが、しかもいきなり目の前に出てきたことにより、混乱してしまったのだろう。コレジャナイ感がある、というか見れば見るほど「あんかけご飯」だ。
メニューに記載されていたとはいえ、温泉玉子が別添えで、つまり殻に入ったままの状態で提供された違和感もあった。こちらに関してはあらかじめ説明されてはいるものの、いざ出てくると、思った以上の「中華料理的な雰囲気」にとまどってしまう。
そもそも、この温泉玉子(広報画像にはそう書いてある)もピンとこない。世間一般のガパオライスは、目玉焼きを揚げたものをのせているんじゃなかったっけ。そのイメージとも、ポスターに掲載されているすでに玉子をのせてある画像とも違うことが、注文した人間を不安にさせるのかもしれない。
ぼくの困惑をよそに、盛田さんは運ばれてきたバジルチキンライスの写真をサクサクと撮りながら、こちらに玉子を割るようにうながしてきた。この人、こういうところがある。感情がないわけではないけれど、デジタル的というか、感情が動いた次の瞬間に冷静になっているような人だ。
細くてしなやかな盛田さんの五指が食事を撮影する動作を眺めつつ、白い楕円を手に取る。小皿の縁で軽く叩いてヒビを入れ、割ってみると、「はい、バジルチキンライスの名パートナーです」といいだけに、するんと半熟の玉子が落ちた。
温泉玉子は適当に割って落としても差し支えない。しかし、ちょっとポスターのサンプルを再現したくなって、真ん中に落としてみることにした。玉子がおさまるようにスプーンの背で中心にくぼみをつくる。何の意味があるのかと言われると、わからない。動揺をおさえたくて、ポスターとおなじ見た目にしないと、平静が保てなかったのかもしれない。
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