では、実際に気になる性能検証に移っていこう。今回は、Radeon VIIリファレンスカードのパフォーマンスを1世代前のVega 64、そしてAMDが仮想敵と定義づけているRTX 2080 Founders Edition(RTX 2080 FE)と対比させつつ検証する。ドライバーはRadeon VIIが検証用のβドライバー(18.50.15.02)を使用したが、Vega 64およびRTX 2080は検証時点での最新ドライバー(Adrenalin 19.2.1およびGeForce 418.81)を使用している。また、Wattmanプロファイルはデフォルトの状態で検証を行なった。
【検証環境】 | |
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CPU | インテル「Core i9-9900K」(8コア/16スレッド、最大5GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「Z390 AORUS MASTER」(Intel Z390) |
メモリー | G.Skill「F4-3200C14D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2666で運用) |
ビデオカード | AMD Radeon VII リファレンスカード、AMD Radeon RX Vega 64 リファレンスカード、NVIDIA GeForce RTX 2080 Founders Edition |
ストレージ | WesternDigital WDS100T2X0C(M.2 NVMe SSD、1TB)、Crucial CT1050MX300SSD4/JP(M.2 SATA SSD、1.05TB、データ用) |
CPUクーラー | NZXT Kraken X72(簡易水冷、360mmラジエーター) |
電源ユニット | Silverstone「ST85F-PT」(850W、80PLUS Platinum) |
OS | マイクロソフト「Windows 10 Pro 64bit版(October 2018 Update)」 |
ワットパフォーマンスは劇的改善
性能はほぼRTX 2080に並ぶ
検証のトップはいつもの「3DMark」だ。前述の通りRadeon VIIはDXRに対応しないため“Port Royal”はテストから外し、DirectX11および12の重量級テスト4本のスコアーを計測した。
まず新旧Vega対決という軸で観察してみると、Radeon VIIはVega 64に対し15~20%程度上に位置している。CUが4基減り、クロックが約13%程度引き上げられたのに最大20%のゲインだから、メモリーバス幅の拡幅が好材料として効いていることがわかる。
そしてRTX 2080に対しては、DirectX11(DX11)のFire StikeおよびUltraではほぼ同等~やや上なのに対し、DirectX12(DX12)ベースのTime SpyおよびExtrtemeではかなり差をつけられた状態で負けている。いくらメモリー帯域が太くても、エンジンとの相性が悪ければライバルに負ける、といったところか。
ではここでシステム全体の消費電力を見ておきたい。消費電力の測定にはラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、Time Spyデモ再生中のピーク値を“高負荷時”、そして「Shadow of the Tomb Raider(フルHD、DX12、画質“最高”)」をプレイ状態で放置した時のピーク値を“SotTR時”として計測した。
Vega 64の燃費の悪さが悪目立ちしているが、Radeon VIIはRTX 2080にかなり近づいている。ワットパフォーマンス的にはまだNVIDIA(CUDAコアだけを使った状態)に一歩劣るが、7nmへシュリンクしたことで消費電力も減らしていることがうかがえる。
Vegaの弱点は価格もさることながらワットパフォーマンスの悪さにあったので、これを解決できた点は多いに称賛すべきだろう。
続いて「VRMark」も試してみる。テストは3つ全て実施した。
まず負荷の軽すぎるOrange RoomはどのGPUも横並び(微妙にRTX 2080が伸びている程度)だが、負荷の重いBlue RoomではライバルRTX 2080に大きく遅れをとっている。ただVega 64に対しては20%以上のゲインを得ているなど、Vegaアーキテクチャーの枠内ではしっかり成長の跡が見られるが、エンジンとの相性で伸びなかったということだろう。

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