その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第29回は、働き方改革プラットフォームを謳うチームスピリット。トップが率先する在宅勤務やそれを実現するテクノロジーについて話を聞いた。
週1の在宅勤務は「集中して仕事するため」
「働き方改革」というキーワードが取りざたされる中、働き方改革を推進するIT企業の働き方はどうなっているのだろうか? 今回取材したチームスピリットは、勤怠管理や経費精算、工数管理、カレンダーを一体にした働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を提供しており、現時点で導入社数が930社、ユーザーは13万人を越える。ERPのフロントエンドとして利用されることが多く、社員の間接業務を削減し、本業に専念できる点が大きなメリット。通常バラバラに提供されている機能を統合されたGUIで見られる点も売りになっている。
さて、自社サービスが「働き方改革プラットフォーム」を謳うだけに、同社も働き方に関してはこだわりがある。もともと同社は制度を作るというより、社員にあわせた働き方ができる環境を整えていく方向性。制度面ではフレックスタイム制度や在宅勤務が可能なのに加え、2015年からは週に1回の在宅勤務を推奨する「CW1」のプロジェクトも進めている。もともとは会議や電話などに左右されず、集中作業したいという代表の思いからスタートしたものだが、ワーキングマザー・ファザーの増加による多様なライフステージへの対応、災害やテロなどの外部環境の影響を受けにくい就業環境の整備なども大きかった。
テレワークを実現するテクノロジーの面では、まずクラウドが前提。Salesforceをベースに業務システムのクラウド化が進められていたため、社内システムにリモートアクセスしなくても業務ができるようになっている。「わりと古くからコピー機以外は会社に置かないという方針でオフィスを展開してきた」(福島氏)とのことだ。
また、クラウド型PBXの「BizTel」を採用しており、電話やFAXに関してもいち早くクラウド化されている。社員のスマホではなく、会社の電話番号に着信した電話を自宅でもとることができ、FAXもメールで送受信できる。TeamSpiritの基盤であるSalesforceとの連携も可能で、かかってきた電話にあわせて顧客情報がポップアップしたり、外出先やモバイルへのシームレスな転送も可能になっている。また、問いあわせ内容はSalesforceの社内SNSであるChatterでいち早く共有されるという。
Salesforceと連携できるBiztelの導入で大きかったのは、電話だけでなく、サポートや顧客対応に必要なシステムがそのまま社外でも使えるという点。福島氏は「6月に全社合宿があったのですが、普段となにも変わらずに電話をとることができました。あとはSalesforceと連携するので、担当につながるも早いですし、過去の問い合わせ履歴でスピーディに対応できます」と評価する。
電話や顧客対応までクラウド化
トップが率先して週1で在宅勤務していることもあり、現在は社員の約半分がCW1を活用している。「最近はメンバーが在宅でも違和感なくリモート会議できるようになっている」(福島氏)とのことで、テレワークは文化として根付いたようだ。制度を運営する人事採用担当の木村知美氏もCW1を利用している1人だが、「家からの往復が2時間かかるので、行き帰りの時間がまるまる浮きます。会社だと飛び込みの仕事もあるので、なかなかスケジュール通りに行きませんが、自宅だと集中して作業できます」と語る。
最近では、自宅を拠点として営業活動を行なっているメンバーや地元の名古屋にレンタルオフィスを借りてリモート勤務しているメンバーも現れているという。「もはや会社でないと絶対にできない仕事は少ないかもしれません。最近では、働き方や組織を考えるべく、社員が自主的にタスクフォースを立ち上げています」(木村氏)とのこと。同社の働き方改革はまだまだ先に進む。
会社概要
チームスピリットは、働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を提供するB2B SaaSの提供企業です。「すべての人を、創造する人に」というミッションのもと、一人ひとりのプロフェッショナルな力を引き出し、強いチームを作ることで、あらゆる人が変化を巻き起こす世界を目指します。
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