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私たちの働き方カタログ第33回

埋もれたプロフェッショナルな人材を活かしきるライフ&ワークス

仕事量も時間も自分で決められる時短コンサルタントという選択肢

2019年02月27日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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 その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第33回は、SAPコンサルティングを専門に手がけるライフ&ワークス。子育て中のコンサルタント職の女性を時短の正社員として受け入れるライフ&ワークスについて代表取締役社長の秋葉尊氏に聞いた。

ライフ&ワークス 代表取締役社長 秋葉尊氏

仕事量や稼働時間を原則本人が決められる

 出産や子育てで退社した女性の復職は、今でも大きな課題だ。人手不足と叫ばれる昨今でも、時短やリモートワーク可という仕事はまだまだ少ない。プロフェッショナルなスキルを持っていても、単価の安いパートにつかざるをえないという状況がある。そんな中、埋もれたプロフェッショナル人材に目を付けたのが、今回取材したライフ&ワークスだ。

 ライフ&ワークスはSAP人事専門のコンサルティングを20年以上に渡って手がけてきたオデッセイの関連会社として2017年10月に設立された。特徴的なのは、出産や子育てで退職したSAPコンサルタントを時短の正社員として雇用しているという点だ。現在、ライフ&ワークスで働いている5人は全員女性で、子育て中の社員もいる。週4日の8時間勤務、週5日の6~7時間勤務など、可能な限り本人の要望を聞いて業務時間を決めているという。

 働き方改革の号令や人手不足の昨今、事務や軽作業など時間に融通の利く仕事は増えてきたものの、彼女たちがやりたかったのは出産や子育ての前にやっていたコンサルティングの仕事だった。「時短で働きたいSAPコンサルサントを採用してくれる会社なんて、今までなかったと口を揃えます。楽しかったコンサルティングの仕事をまたやりたいという想いを持って、弊社にしぼって応募してくれる方も多いです」(秋葉氏)。

 ライフ&ワークスを設立したきっかけは、深刻な人材不足だ。オデッセイが提供しているRPAやAIで業務を自動化する方法もあるが、コンサルティングの領域では人手に負う業務も多い。そのため、時間に縛られずにコンサルタントが働ける環境として作ったのがライフ&ワークスだ。「SAP業界は慢性的に人材が不足していますし、SAPブームの初期に活躍していた方々がそろそろ定年を迎えるので、これからますます人材不足に拍車がかかると予想しています。今後を考えて、人材で働き方改革を支援するような会社を作ろうと思いました」と秋葉氏は語る。

コンサルタントの時短勤務を実現する仕組みと今後の課題

 仕事量はフルタイムに比べれば多少減るものの、仕事内容はフルタイム勤務とまったく同じ。「SAPのコンサルティングはハードだし、会社を立ち上げる前は『時短では無理』という先入観もありました。でも、やってみれば、きちんと機能することがわかりました。お客様との契約書で1日の労働時間を規定しているせいか、時間内の生産性を高めようという意識を感じます」と秋葉氏は語る。

 もともとSAPのプロジェクトはタスクが細かく管理されているが、オデッセイは仕事量や所要時間、生産性も評価システムで定量的に管理されている。担当の仕事が標準工数でどれくらいの時間がかかるのかわかっているので、事前に計画が立てやすく、労働時間に対して割り当てる仕事量も明確だという。「標準工数で10日分の仕事を8日間でやり遂げる目標を立てるとしたら、実際にどのように進めるのかをきちんと計画に落としてもらいます。その結果、長時間労働を前提とした計画だったら、リーダーが却下し、標準時間での計画に変更するか実力に合った目標に見直しをします。すべてのプロジェクトにおいてリーダーがまめにコミュニケーションを取りながら状況を管理しています」(秋葉氏)。このような仕事量や生産性が可視化できる仕組みがあるからこそ、コンサルティングの時短勤務もスムーズに導入できたと言えるだろう。

 現在、ライフ&ワークスで働いている5人はすべてが子育て中を含む主婦となっており、当初から視野に入れていたシニア層の雇用は実現していない。第一線で長く働きたいと思うシニア層は多いはずだが、条件にマッチする人材の確保が難しいという。「50歳過ぎのシニアの場合、管理の経験より、プロフェッショナルなスキルを持っている方がありがたいのですが、なかなか採用まで至りません。『ダイバシティ』と口で言うのは簡単ですが、実現は難しいですね」と秋葉氏は吐露する。

 いずれにせよ、日本の経営者から見た課題はやはり人手不足。総務省の調査によれば、2030年には2013年に比べて約15%近く労働人口が減ってしまう。秋葉氏は、「仕事量は減らないのに、働き手は増えないどころか減っていく。こうした中、生産性をいかに向上させる工夫をしていかなければ、業績向上どころか、維持すらままなりません。でも、その危機感を持っている人は少ないと思います。今後は企業力の差がさらに顕在化する時代になると思います」と警鐘を鳴らす。


会社概要

ライフ&ワークスは、人事専門のITコンサルティング会社であるオデッセイが「働き方改革」を支援する事業の一環として2017年に設立しました。出産・子育て等で退職したSAP導入コンサルティング経験のある女性コンサルタントやシニア世代のコンサルタントの方々が、自分にあった月間の実働日数、実働時間、仕事量を設定し、コンサルタントとして活躍しています。ライフ&ワークスは、一人ひとりのライフステージに合わせ、安心して長く働ける環境を提供しています。

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