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柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた 第54回

稟議書が承認されるまでの時間をAcrobat DCで短縮する方法

2018年05月17日 11時00分更新

文● 柳谷智宣

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本連載は、Adobe Acrobat DCを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第54回は、稟議書が承認されるまでの時間をAcrobat DCで短縮してみる。

稟議書をまわす手間と時間を削減する「電子印鑑機能」

 「稟議書」はビジネスで使う物品やサービスを購入したり、取引先と契約する時などに会社に提出する書類だ。日本特有の書類とも言われており、上司や経理、社長など複数の人の承認を受ける必要がある。稟議書の是非はおいておいて、それでも紙で印刷した書類に印鑑を押してもらうというのはとても効率が悪いというのは承知の通り。印刷コストはかかるし、承認する人が印鑑のある場所でその書類を受け取る必要がある。出張中であれば、帰ってくるまでは保留になってしまう。ビジネススピードが加速している現在、稟議書を回している間に状況が変わり、案件が流れることだってあり得る。

 今の日本企業の仕組みだと、すぐに稟議書を廃止することはできなさそう。そこで重要になるのが、「時短」だ。稟議書をまわす手間と時間を大幅に削減できれば、デメリットを縮小できる。当然、紙で回すことからは脱却しなければならない。

 そこで活用したいのが、Acrobat DCの電子印鑑機能。メールで受け取った文書をAcrobat DCもしくは、無料のAcrobat Readerで開き、自分の電子印鑑を押すだけで承認できれば、作業は一瞬で済むし、送受信にも手間はかからない。出先でも出張先でも対応できるので、無駄な待ち時間が発生しないのもありがたいところだ。

 操作も簡単だ。まずは「ツール」から「注釈用に送信」をクリックし、第2ツールバーの「承認用に電子メールで送信」をクリックする。送信するPDFファイルや承認してほしい相手のメールアドレスを入力する。複数の人の承認を受けるなら、「文書が承認されて別の承認者へ送信されるたびに電子メールでの通知を要求」にチェックしておこう。承認されるたびに通知が来るので状況がわかるし、ストップしている人がいれば見落としていないか連絡することもできる。

「ツール」から「注釈用に送信」をクリックし、第2ツールバーの「承認用に電子メールで送信」をクリックする

ウィザードが開くので、PDFファイルを確認し、「次へ」をクリックする

最初に承認してほしい相手のメールアドレスを入力する。「アドレス帳」から選択することも可能だ

メールの件名と本文を確認し、「承認依頼を送信」をクリックする

Acrobat DCでメールの設定を行なっていれば、そのまま送信できる

 受信した人は、添付ファイルを開く。メールの本文に、手順が書いてあるのがありがたいところ。PDFファイルが表示されると、「スタンプ」パレットが開いているので、自分の電子印鑑を所定の場所に押し、画面上のツールバーから「承認」をクリックすればいい。承認しない場合は「非承認」をクリックする。なお、Acrobat DCだけでなく、Acrobat Readerでも同様の手順で承認できる。

 ほかにも承認者がいる場合は、そちらに送信する。次の承認者も、同様にスタンプパレットから電子印鑑を押し、「承認」をクリックする。もし、最終承認者であるなら「最終承認」をクリックすればいい。

 担当者にはもちろん通知が行くので、社長や総務など、それ以外に承認を完了したことを伝える相手がいるならメールアドレスを入力して「送信」をクリックすればいい。元の担当者には、承認者すべての電子印鑑が押されたPDFファイルが届くというわけだ。

承認するようにメールが来る。手順が書いてあるので迷わず操作できる

電子印鑑を押し、「承認」をクリックする

次に、承認する人のアドレスを入力して「送信」をクリックする

非承認の場合は、元の送信者に通知が送られる

次の送信者も引き続き、電子印鑑を押す。最終承認者であれば「最終承認」をクリックする

社長や前の承認者など必要な宛先を入力して「送信」をクリックする。画面はAcrobat Reader

送信元ユーザーに最終承認が完了したとメールが来る

必要な電子印鑑が入れられたPDFが手に入った

 以上のように、Acrobat DCで承認フローを勧めるなら、PCとネットさえあれば、あっという間に終わる作業となる。承認者がオフィスにいるなら1日どころか数時間も経たないうちに稟議書が回ることだろう。以前は、数日、下手をすると1週間かかっていた稟議が数時間に短縮できるのは大きなメリットとなる。ビジネススピードが向上し、作業者のリソースも効率的に使えるようになるし、ペーパーレス化も実現するので、いいこと尽くめだ。

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