柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた 第163回
フリーランス法に対応! 「契約書メーカー」で作成した契約書にAcrobatで電子サインしてもらう方法
2025年02月07日 10時00分更新
本連載は、Adobe Acrobatを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第163回は、「契約書メーカー」で作成した契約書に電子サインしてもらう方法について紹介する。
フリーランス法で義務付けられた業務委託契約書の作成
2024年11月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」いわゆるフリーランス法が施行された。フリーランスに業務委託する事業者(業務委託事業者)に契約条件の明示が義務付けられるというものだ。取引条件を明示し、フリーランスを守るための取り組みだ。筆者のようなライターは口約束で仕事をすることも多かったのだが、それではトラブルに巻き込まれることもあるのでありがたいところ。
とはいえ、発注側も大企業とは限らない。中小企業、中にはフリーランスからフリーランスに発注することもあるだろう。いきなり、業務委託契約書を作れ、と言われてもどうすればいいのかわからず、困ってしまう。
同じく、11月にはフリーランスや個人事業主として働く人々を支援するために設立されたフリーランス協会(正式名称:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)は、「契約書メーカー」の提供を開始した。幅広い職種の業務委託ケースに対応する契約書を無料で作れるサービスだ。「フリーランス・トラブル110番」で数多の契約トラブル相談に対応してきた第二東京弁護士会の担当弁護士らが監修しており、安心できる。
表現がわかりやすくなっており、法律になじみのない人でも利用できる。必要な情報は選択式なので、操作は簡単。発注者だけでなく、受注者側でも利用できるのもありがたい。発注者に「契約書を用意してほしい」と言いだしづらいことも多いためだ。
まずは、フリーランス協会のホームページから「契約書メーカー」を開く。受託者か委託者かを選択し、それぞれの情報を入力していく。左側にその解説もあるので、迷わず操作できる。大きく5ステップ用意され、それぞれの項目で複数の情報を入力する。簡単といっても、きちんとした契約書を作るので、入力する項目数は多い。しっかりと文章を読み、正確に入力していこう。
様々な仕事に対応するため、契約書は柔軟に作成できる。その分、業務内容の詳細や締め切りなど、テンプレートになっていないこともある。それまでに取引先と話した内容を思い出し、正確に入力しよう。決まっていないなら、「未定」としておくこともできる。
経費や振込手数料、源泉徴収などについても、契約書できっちり決めておくことで後のトラブルを回避できる。もちろん、それぞれの項目を入力するページが用意されているので、ユーザーは回答していくだけでOK。
すべての項目を入力し終わったら、プレビューする。確認画面からは任意のところまで戻って再作業することも可能だ。問題なさそうなら、「PDFでダウンロードする」をクリックして契約書のファイルをダウンロードしよう。
契約書メーカーで作った契約書に電子サインしてもらう
では、続いてAcrobatで電子サインしてもらおう。ダウンロードしたPDFを開き、「電子サインを依頼」をクリック。自分と受信者を追加し、「文書を準備」をクリックする。続いて、自分と受託者の電子サインフォームを設定すれば準備完了。「確認して送信」をクリックする。
まずは、自分で署名し、「送信」をクリック。相手にも電子サインの依頼メールが送られているので、署名してもらう。受託者はAcrobatを持っていなくても、ブラウザ上でサインできる。Adobe IDを持っていなくてもいい。
署名と言っても手書きしてもいいし、キーボードでタイピングしてもいい。どちらでも法的効力を持っているので安心しよう。先方が署名すれば電子サインの処理が完了。PDFには署名パネルが表示され、何時何分に誰が署名したのかなどを確認できる。あとは、このPDFファイルをきちんと保管しておけばいい。

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