本連載は、Adobe Acrobatを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第160回は、共有するPDFファイルのサイズを圧縮してコンパクトにする方法について紹介する。
共有するファイルは環境によって相手に負荷がかかる
作成したPDFファイルを他の人と共有する場合、ファイルサイズをチェックしておこう。10MB程度であればメールやビジネスチャットで共有してもいいが、何十MBもある場合はファイルサイズを小さくしておく必要がある。高速ネット回線と高性能PCを使っているならファイルサイズが大きくても問題ないが、相手が出張先などで性能の低いPCやスマートフォンでアクセスする場合、無駄な負担をかけてしまうためだ。
通常、PowerPointやWordからPDFを作成する場合は、ある程度圧縮されるようになっているが、設定を変更していたり、Acrobatで画像を追加していたりすると、ファイルサイズが想定外に大きくなることがある。PDFファイルの右クリックメニューから「プロパティ」を開き、「サイズ」を確認してみよう。
今回は画像を多用した13ページのプレゼン資料を圧縮してみる。元のファイルサイズは33.8MBだ。
PDFを開き、ツール一覧から「PDFを圧縮」をクリック。開いているファイルを圧縮するなら「単一ファイル」をクリックする。圧縮後のファイルを保存するダイアログが開くので、保存場所を選択し、ファイル名を付けて保存しよう。ファイル名は元の文字列が入っているが、上書きしてしまうといけないので、一時的にでも「圧縮-」などの文字列を付けて別名で保存するといいだろう。
圧縮したPDFのサイズを確認したところ、1.51MBとなっていた。たったこれだけの作業で、95%のコンパクト化ができるのだ。
PDFファイルサイズが大きくなるのは画像や動画の大きさによる影響
PDFの圧縮効果は、ほとんどが画像データを圧縮したため。当然、データ量を落とすので画質は劣化する。とは言え、ディスプレイ上で見る限りはあまり違いがわからない。600%に拡大してみると、圧縮したほうがざらざらになっているのを確認できる。ポスターなどの印刷物をレビューするためにPDFを共有する場合は、圧縮すると画質が劣化してしまうので注意が必要だ。とは言え、一般的なビジネス文書ではほとんど影響がないので、気兼ねなく圧縮していいだろう。
ただし、動画は圧縮されないので注意が必要だ。どうしてもPDFファイルのサイズを小さくしたいなら、動画は別ファイルで再生したり、動画共有サイトにアップロードしてURLを記載すればよいだろう。
PDFファイルの最適化は細かくカスタマイズできる
最適化の設定を細かくカスタマイズすることもできる。PDFの圧縮メニューから「高度な最適化」をクリックすると、画像だけでなくフォントやオブジェクト、ユーザーデータなどを破棄する設定も調整できる。画像も、カラー/グレースケール/白黒のそれぞれで圧縮後の解像度や画質を設定できる。
まずは、右上の「容量の調査」をクリックしてみよう。PDF内を占めるデータの容量と割合を表示してくれる。通常は画像や動画などのマルチメディアデータがダントツに多いことだろう。そのため、他の項目を頑張っていじってもほとんど圧縮効果は得られない。フォントは数%の容量を占めることもあるが、埋め込んでおかないと他の環境で正常に表示されなくなるのでそのままにしておくこと。通常は、標準設定のまま利用すればいい。
「高度な最適化」の「最適化」を開くと「PDFをWeb表示用に最適化」という項目がある。標準設定の圧縮でも有効になっている設定で、この項目が有効になっていると、ブラウザで素早く表示されるようになる。PDFファイル全体をダウンロードする前に、ページ単位でウェブサーバーからダウンロードできるようになるためだ。ウェブで公開するようなPDFであれば、必ず有効にしておきたい。
「Web表示用に最適化されている」かどうかは、PDFのプロパティ画面を開き、「概要」タブの「詳細情報」で確認できる。
以上が、共有前にPDFファイルサイズを圧縮してサイズをコンパクトにする方法となる。他の人とPDFを共有する前にはファイルサイズをチェックする癖をつけておこう。

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