静かな環境なら有効だが
乗り物など騒音と振動の多い場所だと不安要素も
意外と心配なのは、TRANEそのものが極めて小型軽量なので、実際に商品を知っているガジェット好きな良からぬ人が、モバイルPC本体ではなく、より容易なTRANEを強奪していく可能性もゼロとは言えない。
また、長時間の離席やスマホ側の省エネ設定によるBLEの断絶や、類似電波による瞬断など屋外には危険な要素は多い。
ほとんど人気のないカフェならアラーム音は十分効果的に聞こえる
さらに、アラーム音量を最大値に上げても、混雑するカフェなどで、TRENEを素早くポケットに入れられたりして立ち去られるとまず防御は不可能だ。
付属のアタッチメントを両面テープでモバイルPCに貼り付け、TRENEとアタッチメントを付属の着脱式ネジ付きのストラップで繋ぐことでひとまず防げそうだが、愛用のモバイルPCの天板に両面テープでアタッチメントを張り付けることに抵抗のあるユーザーもいるだろう。
筆者は実際に極めて人の少ないカフェや走行中の新幹線の中でTRENEの機能やアラームの可聴をテストしてみたが、人の少ないカフェではアラーム音が大ならまず気づかない人はいない十分な音量だ。
しかし、揺れの多い新幹線などの中などでは、感度もそれほど上げられず、アラーム音量を大きくしても周囲の環境に負けそうな感覚だ。
今から15年ほど前、筆者は某社と共同で、電池で動作するノートPC用の盗難防止セキュリティーアラームの商品企画をしたことがある。
外観形状はスリムな箸箱のようなノートPC・スタンド型。離籍するときは、本体ユニットの金属ピンを抜くことで、地雷のようにセキュリティガードモード(見守り)に入る。
ユニットの側面中央部分にノートPCの自重で押し込まれているスプリング式の小さなスイッチがあり、不用意にノートPCを持ち上げたりすると、100デシベルの大音量でアラームが鳴る。昨今流行りのIoT系とは無縁のノン・インテリジェントな仕組みだ。
しかし、いったんアラームが鳴りだすと、底面のスイッチを押し込んでもまったく鳴りやまない。アラームを止めるには、先ほど抜いたピンを差し込むしか手段がないのだ。
本当に実用となる盗難防止なら武骨でも、少し頭悪い系でもこの程度のおバカな仕組みと強力なアラーム音は必要だろう。
アラームが鳴るかどうか
鳴ったとして誰か注意してくれるのか……
TRENEはファンシーでおしゃれな非肉食系ガジェットだが、実際に筆者が何度か試したところ、TRENEを置いたモバイルPCやタブレットを静かにゆっくりと持ち上げれば、ほぼ75%以上の確率でアラームは鳴らない。
TRENE単体を持ち上げる方が難易度は高く、モバイルPCとTRENEを一緒に持ち上げて移動するのはそれほど難しいことではなかった。いろいろな環境で、モバイルPCやタブレットと一緒にTRENEを使ってみたが、実際の扱いに関しては油断は禁物だ。
すべてが思惑通りに運んで、無事アラームが鳴って、周囲の人の多くがその音を十分認知できても、貴方のモバイルPCを悠然とカバンに押し込んで立ち去ろうとする人を制止してくれるかどうかは極めて難しいのが現代の日本の状況だ。
TRENEは、感覚的には、カフェでお仕事の“ドヤ顔モバイル”環境で、離席時の自分の気分負担を多少減らすアクセサリーくらいに考えておくのが無難だろう。
時々光るLEDもそれほどの抑止力があるとは思えない。実際に盗るつもりならまず防げないと考えるべきだろう。
意外と効果が期待される100%アナログのノンIoT型“最終ウエポン警告用紙”
それほど機会も必然性もないので、いつのことか分からないが、次回の貴重な“カフェでお仕事”タイムには、A4サイズの紙にパワポで即席に作った「盗ったら殺す!」「If you stole, I'm gonna fucking kill you」ステッカーと、TRENEの効果比較をやってみようと企んでいる。\(^o^)/
今回の衝動買い
アイテム:
TRENE(トレネ)
価格:アマゾンにて6646円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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