2月15日、エイチ・アイ・エス(H.I.S.)と日本通信が格安SIMの新会社「H.I.S.モバイル」を設立しました。この発表で注目したいのが「eSIM」を用いた海外向けの格安SIMです。
最近では、MAYA SYSTEMのもとで復活を遂げたFREETELも、今夏にeSIM搭載スマホの投入を予告しています。共通しているのは、海外のデータ通信も「格安」になる可能性です。
eSIMを利用して海外70カ国でデータ通信を実現
H.I.S.と日本通信が発売を開始したのは、ドコモまたはソフトバンクの回線を利用した「国内旅行」向けの格安SIMです。これとは別に、「海外旅行」向けの格安SIMを5月に発売するとしています。
具体的には、海外70カ国において、1日500円で200MB程度のデータ通信が利用できるとのこと。これまで大手キャリアの海外データローミングは1日2980円の使い放題か、1日980円で契約中のデータ量を海外利用するというやや割高なものでした。一方、MVNOの海外利用は音声のみで、データは未対応の状況が続いてきました。
これに対して日本通信では、eSIMを用いることで、外国に着いたときに現地キャリアに直接つながる仕組みを開発しているとのこと。eSIMといっても、LTE版のApple Watchなどに内蔵されているような埋め込み型ではなく、一般的なプラスチックカードを使うため、見た目は普通のSIMカードになるようです。
たしかに1日500円という料金では、現地のSIMを買ったほうが安い場合もありそうです。しかしキャリアショップに行く必要がなく、事前にルーターなどの用意も不要。アプリも「SIMアプリ」の仕組みを使うためダウンロードも不要という手軽さを考えれば、十分に「格安」と言ってよいでしょう。
気になるのは、中国のように現地キャリアがFacebookやグーグルのサービスをブロックしている国があることですが、日本通信ではこうした制限を回避すべく交渉を進めているとのこと。ローミングを使わずに自由な通信を実現できるか、興味深いところです。
スマホへのeSIM搭載で海外利用に期待
H.I.S.と日本通信以外にも、FREETELブランドの端末事業を引き継いだMAYA SYSTEMが「eSIMスマートフォン」の開発を表明しています。
これまでMAYA社は「jetfi」ブランドのモバイルWi-Fiルーターを販売しています。筆者も同じ中国uCloudlinkのクラウドSIMの仕組みを用いたルーターを利用していますが、海外で何も設定することなく、現地のキャリアに自動的につながるのが便利です。
ほかにも、デバイスだけで現地キャリアと契約できる仕組みはアップルの「Apple SIM」でも実現しています。最近のiPadは本体内にApple SIMを内蔵しており、SIMカードを差し替える手間もありません。
今後、スマートフォンへのeSIMの搭載が進み、それと並行して各国のキャリアと簡単につながる手段が確立すれば、こうした体験がスマホだけでできるようになります。海外での新たな「格安」データ通信手段として期待です。
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