「de:code 2017」レポート:さくら、NSSOLが新サービスを紹介
NVIDIAも初出展、1年前と様変わりした「de:code」展示会場
2017年05月30日 10時10分更新
日本マイクロソフトが5月23日~24日に都内で開催した開発者向けイベント「de:code 2017」。今回はAI(人工知能)とMR(Mixed Reality)をキーテーマに、基調講演には米国本社でHoloLensの開発を率いるアレックス・キップマン氏が登壇。2日間で138のテクニカルセッションが設けられた。
パートナー企業やテクノロジー企業各社がブースを構える展示会場をのぞくと、オープンソース系の出展が目立った昨年とはだいぶ様変わり。今年はマルチクラウドを相手に独自技術を提供しているとがったテクノロジー開発企業が目を引いた。
Azureの新インスタンス「NCv2シリーズ」の“中身”を展示
トヨタ自動車との協業、ソフトバンクによる株式取得など、日本市場で今何かと話題のNVIDIAは、GPU「Tesla M60」と「Tesla P100」を展示していた。NVIDIAがde:codeにブースを出展するのは今年が初めてだ。
Tesla M60は、AzureのGPUインスタンス「NVシリーズ」に搭載されているモデルだ。NVシリーズは、つい先月、日本リージョンでもGAになった。
またマイクロソフトとNVIDIAは5月8日(米国時間)に、Azureの新しいGPUインスタンス「NDシリーズ」と「NCv2シリーズ」を発表している。NDシリーズは新PascalアーキテクチャをベースにしたTesla P40を搭載。Tesla P100搭載のNCv2シリーズは、既存のNCシリーズの第2世代として登場し、第1世代の2倍の計算性能を提供する。
5月10日~12日の年次開発者会議「Microsoft Build 2017」でも、今回のde:code 2017でも大々的には紹介されなかったが、Build 2017の前後でAzureの新しいVMインスタンスがいくつか発表されている。前述のGPUインスタンス「NDシリーズ」と「NCv2シリーズ」のほか、SAP HANAワークロード向けに最大3.5TBメモリを搭載する「Mシリーズ」がアナウンスされた。
sakura.ioとAzureが連携
さくらインターネットのブースでは、IoTプラットフォーム「sakura.io」と、Microsoft Azure IoT Hubを接続するソリューションが初披露されていた。
sakura.ioは、IoTデバイスに搭載する通信モジュール、データの保管や活用のためのクラウドサービス、セキュアな閉域通信網を一気通貫で提供するIoTプラットフォームサービスだ。通信モジュールは、キャリアのLTE閉域網を介してsakura.ioに接続し、データを送受信する。AWS、Azure、IBM Bluemixなど外部クラウドとの連携機能も標準で備えている。
さくらインターネットと日本マイクロソフトは5月9日に、IoT事業での協業を発表した。2社で接続検証を重ね、Azure IoT Hub(IoTデバイスをAzureに接続して双方向通信を確立するサービス)とsakura.ioのセキュアな接続を実現。エンドユーザーは、sakura.ioの通信モジュールから、Azure IoT Hubを介してAzureのデータ分析プラットフォームをシステム開発なく利用することができる。
NSSOLの新サービス「カモノハシ」
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は、5月18日に発表した画像認識アプリケーションの開発プラットフォーム「KAMONOHASHI(カモノハシ)」を展示した。
KAMONOHASHIは、ディープラーニング(深層学習)を利用した画像認識アプリケーションの開発を便利するプラットフォームサービス。GPUドライバや各種深層学習フレームワーク、自動化ツールなどをDockerコンテナー化してクラウド上に展開し、ディープラーニングの計算のためのGPU環境が手軽に構築できる機能、学習に必要なデータを収集・管理する機能、大量の学習履歴の管理の手間を軽減する機能などを提供するものだ。展開先のクラウドとしてAzureが選択できる。
スタートアップ企業が日替わり出展
スタートアップコミュニティブースでは、Azureをはじめとしたマイクロソフトテクノロジー関連のスタートアップ企業が、交代でブース出展していた。
de:codeの1日目午後には、福岡を拠点にAzureやAWSのクラウドSIを展開するオルターブースが自社サービスの「マイソースファクトリー」を紹介していた。マイソースファクトリーは、自分好みの味のオリジナルソースを調合して注文できるサービス。サービス基盤が、AzureとAWSのサービスを適材適所で組み合わせて構築されている。