既報の通り、AMDは12月13日に“New Horizon”と題したイベントを開催し、この中でSummit RidgeことRYZENのプレビューを行なった。
そこで発表の内容と、もう少し細かい話を解説しよう。まずはスペックの話である。Zenコアを搭載したSummit Ridgeベースのプロセッサーのブランド名はRYZENとなり、ハイエンド製品は以下の内容が明らかにされた。
- 8コア/16スレッド構成
- Base Frequencyが3.4GHz以上、TDPは95W
- 2次+3次キャッシュの合計が20MB
- Socket AM4プラットフォームを利用する
もっともこの話はそれほど新しいわけではない。1次/2次/3次キャッシュ構成については連載372回のスライドでも明らかにされているが、4つのコアについて、おのおの512KBの2次キャッシュが用意され、これとは別に1MBの3次キャッシュのスライスが8枚(つまり8MB)実装される。
2次+3次、という表現になるのは2次と3次キャッシュが排他の関係にあるからだ。つまり2次キャッシュに保持した内容は3次キャッシュから落とされ、逆に3次キャッシュに書き戻した内容は2次キャッシュから落とされる。
このため、2次と3次で重複した内容は持たないので、理論上は4コアで合計10MB、8コアなら合計20MB分のキャッシュ容量がある、という計算になるわけだ。
もっともこれは嘘ではないが正しいわけでもない。この計算が成り立つのは、「4つのコアのおのおのの2次キャッシュに格納されるデータ/コードが全部異なっている」場合のみで、例えば4つのコアの2次キャッシュにすべて同じデータ/コードが入っていたりすると、合計で8.5MB分、8コアでも17MB分という計算になるからだ。実際の効率は、当然動く環境によって異なってくるのでなんともいえないのだが。
AM4プラットフォームに関しても、すでにロードマップで出ている話なので、これも別に新しい話ではない。AM4に関しては連載370回で触れた通り、USB 3.1のコントローラー回りに問題があったらしいが、来年リリースということは一応なにかしらの目処はついたものと思われる。
RYZENのベースクロックは3.4GHz以上
TDPは95W
新しいのは、ベースクロックが3.4GHz以上であるとアナウンスされたことと、TDPが95Wと示されたことだ。以前の発表会におけるデモでは、3GHz駆動でのデモだったが、今回は3.4GHz駆動となり、「Core i7-6900K」との性能比較が行なわれた。
ちなみにデモ内容はBlenderでのレンダリング性能比較、それとHandBreakを利用したトランスコードの性能比較が披露され、RYZENのおそらくハイエンドモデルは、「Core i7-6900K」と同等以上の性能を出せることが示された。
またデモの中で「Core i7-6900KはTDPが140Wだが、RYZENは同等以上の性能を95WのTDPで実現している」と説明しており、動作周波数はともかくTDPに関しては定格は95Wで確定らしい。
もっともこれはハイエンドの8コア/16スレッドの数字で、メインストリーム向けの4コア製品などではまた違った数字になると思われる。
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