Office 365と独自プライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境
一方、三菱電機は、Office 365と、三菱電機独自のプライベートクラウド環境を組み合わせたハイブリッドクラウド環境を実現。効率的なコミュニケーションとセキュリティの強化を両立するという。
2020年度に創立100周年を迎える三菱電機は、その時点の売上高5兆円以上、営業利益率8%以上を目指す長期経営計画を打ち出している。
その成長に向けたコミュニケーションプラットフォームが、Office 365を活用した「グローバルIT基盤」となる。
グローバルIT基盤では、「サイバー攻撃対策の強化」「情報共有/コミュニケーションの効率化」「IT基盤提供の迅速化」の3点がポイントだ。
国内外300拠点で利用されている19万台の端末を一元管理。さらに、自動暗号化技術によって重要情報の管理を実施。Office 365の導入により、情報共有にはSharePoint、メールや予定表にはExchange、コミュニケーションにはSkype for Businessをそれぞれ採用。これらのコミュニケーション基盤に対して、三菱電機独自の機能として、上長承認機能やファイル持ち出し時のファイル暗号化機能などを実装。これをMicrosoft Azure上で稼働させるという。
「三菱電機グループでは、メールサーバーを工場ごとやグループ会社ごとに設置していたという背景もあり、高い水準でセキュリティレベルを保てていないという課題があった。また、異なるコミュニケーションシステムが導入されていたため、これが結果として部門間のコミュニケーションを阻害する要因になっていた。コミュニケーションツールの統一がコミュニケーションを活発することにつながるほか、Office 365の導入により、24時間365日のサービス提供、段階的な導入、コストダウン効果も期待できる」(三菱電機 IT戦略室長の木槻純一執行役員)とする。
さらに、今後の成長において重要な取り組みとなるグローバル展開の拡大においても、業務プロセスやシステムを定型化および標準化することで、初期投資を抑えながら、スケーラビリティの高いクラウドサービスを迅速に活用できるという。
日本の大手電機2社が示す、日本企業の変革
両社がOffice 365をコミュニケーション基盤として採用した背景には、グローバルで標準化したクラウドサービスであること、セキュリティ対策に優れ、堅牢性が高いこと、そしてすでにOfficeを活用しており、数多くの社内資産があった点も見逃せない。
しかし、SaaSであるOffice 365の場合、随時機能が強化されるため、それにあわせてシステムや運用も変化しなくてはならないという課題もある。また、これまでユーザー部門の要求を聞いて、細かく対応していたものが、今後はユーザー部門がOffice 365の基本機能にあわせて業務を行なう必要もある。いわば、情報システム部門だけでなく、ユーザー部門にも意識の変化を促すものになる。
日本で相次いで大型導入が決定したOffice 365だが、これまで独自機能を搭載し、それぞれの企業に最適化したカスタマイズを行なってきた日本の大手電機2社が、Office 365を選択し、それをコミュニケーシヨン基盤として世界最大規模で導入するというのは、日本企業の変革を象徴するものだといっていい。その成果が注目される。
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