まずはセキュリティ面の強化、機械学習の知見なども取り込んでいく
一方で、DMG森精機とは、スマートファクトリーの実現や、工作機器を中心とする制御システムのセキュリティに向けた技術協力で合意。来年春を目標に製品に反映。まずは、セキュリティ面の強化を進めるほか、機械学習の知見などを取り込んでいくという。
DMG森精機の森雅彦取締役社長は、「工作機械に求められる価値が変化。機械の価値が重視される部分が減る一方で、オープンイノベーション、組み込みソフト、HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)で構成されるテクノロジーサイクルが重視されてきた。それにあわせて、300種類の工作機械のラインアップを減らし、製品ごとの価値を高めることを重視。ソフトウェアによって、ソリューションの価値を最大化していく必要がある」とする。
こうした流れの中で、マイクロソフトのWindows 10 IoTファミリーや、Microsoft Azureを活用。スマートファクトリーの実現に向けて、セキュリティに関連した取り組みや、クラウドで収集したデータの活用、新規ビジネスモデル構築に向けた技術的検討、ウェアラブルデバイスを活用した機械操作員の作業効率の向上などに取り組むという。
「DMG森精機は、90年代からネットワーク化に取り組み、工作機械に対してセンサーを取り付けることで、国内1万件の工作機械の遠隔サービスを通じて、保守や予防保全を行なってきた。これまでには情報漏洩の問題などは起こしていないが、セキュリティに関するさらなる取り組みが必要だと考えた。我々のやってきたことにようやく技術が追いつき、機が熟してきたと考えている。
現在、全世界に31万件の工場に工作機械を導入しているが、海外工場の工作機械や古い工作機械などを含めて接続し、迅速にサポートしたり、効率化したり、顧客の相談に乗れるような環境を作りたい。セキュリティの観点において、海外拠点の工作機械を結ぶときに、マイクロソフトと組んだメリットが発揮できると考えている」とした。
将来的には、HoloLensを活用した取り組みも視野に入れており、設置サービスや保守サービスへの活用のほか、工作機械による製造シミュレーションなどに活用していく考えがあることも示した。
日本マイクロソフトは、年間1000億円の費用をセキュリティに投資している
また、日本マイクロソフトの樋口泰行執行役員会長は、「デジタル化は、産業を問わずに広がっており、デジタルトランスフォーメーションは多くの企業の課題になっている。それを支援するのが日本マイクロソフトの役割である」と解説。「最初は、セキュリティ部分での協業のほか、今後は、IoTや機械学習を利用した工作機械からあがってくるデータの解析などで技術協力も重要になってくるだろう。
日本マイクロソフトは、年間1000億円の費用をセキュリティに投資している。米国防総省に次いでアタックを受けている企業でもあり、その知見を生かして、サイバー攻撃にも対抗できる。最新のデジタルテクノロジーをどう活用するのかといったことも考えている」とする。
デジタルトランスフォーメーションの動きは、あらゆる産業で進行しているのは誰もが認めるところだろう。
こうした動きによって、様々な産業領域において、日本マイクロソフトと、深い関係を結ぶ企業が増えている。こうした相次ぐ提携は、まだしばらく続くことになりそうだ。
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