パートナーとの連携における地盤づくり
ふたつ目が、Oracleからの移行を促進する上での切り札になる、パートナーとの連携における地盤づくりだ。
日本マイクロソフトでは、パートナー向けトレーニングを強化している。なかでも、Oracle Databaseのフィールドエンジニアを対象にしたトレーニングを2016年2月から実施。6月までに、SEで337人、営業で237人が受講しているという。
日本マイクロソフト 業務執行役員 マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズビジネス本部の佐藤久本部長は、「トレーニングを受けたSEのうちの95%、営業のうち87%が、SQL Serverを提案してみたくなったと回答している。パフォーマンスの高さや価格の安さをOracle Databaseのフィールドエンジニアが実感している」と語る。
トレーニング受講者の目標は1200人を見込んでいたが、反響が大きいことから今年度中に2000人にまで枠を拡大して育成を図る予定だという。
「SQL Serverを扱っていない人がこれだけ多かったということの証。SQL Serverを扱う人たちをもっと増やしたい」と語る。
さらに、パートナー支援窓口として、電話による問い合わせが可能な「SQL Direct」を新設。これを7月8日からスタートしている。
この電話番号はフリーダイヤルとなっており、「OH!ゴーゴー シークル」と読ませ、SQL Server専用であることを示す。窓口開設にあたり、担当部門が知恵を絞って取得した番号であり、そのあたりにも同社のこだわりを感じることができる。ちなみに、この番号はあくまでもパートナー支援窓口であり、ユーザーからの問い合わせなどへの対応は行なわない。
SQL Server 2016の導入/移行をサポートする無償検証施設
そして3つ目が、7月1日付けでSQL Server 2016の導入および移行をサポートする無償検証施設を日本マイクロソフト本社内に設置した点だ。
同検証施設では、SQL Server2016が稼働するハードウェアとして世界最大級となるHPE Integrity Superdome Xを設置し、検証できるようにしているという。
対象となるのは、基幹系や大規模環境でのSQL Serverの導入を検討している企業、あるいはベンダーロツクイン体質により、複雑で高コストとなっているデータベース環境を見直したい企業などとしている。
この施設を通じて、基幹システムにおけるデータベース移行の検証支援、大規模データベース環境の性能検証やベンチマーク、SQL Serverを活用した各SIパートナー企業のソリューション開発などにつなげられるという。
同社では、「オラクルが、Oracle Database SE1の提供を終了したことや、2015年9月には約10%の値上げを行なったり、2016年1月末にはライセンス体系を変更したりといったこともあり、Oracle DatabaseおよびOracle ExadataのユーザーがSQL Server 2016の利用を検討するケースが増加している。
また、ガートナーによる最新のMagic Quadrant for Operational Database Management Systemsでは、マイクロソフトがLeaderのポジションに位置付けられおり、市場からの評価が高まっていることも追い風になる」としている。
オラクル、OSSにどう対抗していくか
国内データベース市場の約5割はOracle Database。一方で、PostgreSQLなどのオープンソースソフトウェアもシェアを拡大し始めている。SQL Server 2016によって、オラクルの牙城をいかに崩すか、そしてオープンソースの波にはどう対抗していくのか。まだまだ取り組みは序盤戦。日本マイクロソフトの次の一手にも注目が集まりそうだ。
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