日本マイクロソフトが7日、家電メーカーアクアとIoTでの協業を発表した。アクアはクラウドにつながり、よく使われる洗濯コースなど情報を取得するコインランドリー「AQUAクラウドITランドリー」を開発する。2017年開始予定。
アクアは中国ハイアールグループの一員。三洋電機が譲渡した洗濯機・冷蔵庫事業をもとにアクアブランドとして家庭用・業務用電機製品を企画・販売している。代表的な家電製品に「R2-D2型冷蔵庫」「ハンディ洗濯機COTON」など。
アクア出身母体の三洋電機はもともと1971年にコインランドリー国産第1号を開発したメーカー。アクアもコインランドリーのIT化を進めており、オーナーが店舗の状況を確認したり、利用者に洗濯終了を知らせる機能は備えている。
今回の発表は、現状オンプレミスで動かしている同製品をマイクロソフトMicrosoft Azureでクラウド化するもの。なぜクラウド化の必要があるのかというとアクア日本執行役員の山口仁史代表によれば「ビッグデータが欲しいから」。
山口代表によれば家電業界には今「グローバル化によるコスト競争」「白物家電のコモディティ化」「新たな顧客体験の創造」という3つの課題がある。顧客のニーズをとらえた製品を開発するためにビッグデータが必要になるという。
具体的にはコインランドリーの稼働状況、よく使われる洗濯コースなどの情報を取得して、UI・UX開発などのヒントにする。利用者の個人情報は取得しない。ただし性別など個人が特定できないデータを取得する可能性はあるという。
Microsoft Azureを選んだ理由は、セキュリティーの高さ、拡張性、「クラウドだけでない包括的な将来性と拡張性」がアクアが目指しているものと一致したため。とくにセキュリティーとグローバル展開が主な協業の目的ということ。
ただ発想は先進的なものの協業内容には「家電とクラウドをかけあわせた“コトづくり”に注力したい」などあいまいな表現が目立ち、質疑応答でははっきりしない回答に記者がいらだちを見せる場面もあった。今後は家庭用製品の通信(IoT)化も視野にあるというが、具体的な開発スケジュールは不明のままだった。
ちなみに韓国LG ElectronicsはWindows 10が動く冷蔵庫の試作機をIFA 2016で展示していたそうだ。ただタブレットをつければいいというものではない気もするが、各社が通信家電の模索を続けている様子が伺える。
※お詫びと訂正:初出時、Microsoft Azureを「Windows Azure」としていました。訂正をもってお詫びいたします。
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
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