発熱と温度
最後にRX 480リファレンスカードのGPU温度とクロックの推移を観察してみよう。「Rise of The Tomb Raider」をプレーしたまま30分放置し、その間の温度やクロックの推移を「GPU-Z」のロギング機能を利用して記録した。
まずRX 480のリファレンスクーラーはコストを強く意識したものだけに、冷却性能は高くない。一応80度台に収まっているため冷卻は足りているようだが、ファンノイズもしっかり出るためもう少しマトモなクーラーを備えたモデルが欲しいところだ。
一方クロックは前述の通り、ブーストクロック1266MHzを上限として小刻みに変動する。GeForce系だと余力があるうちはブーストクロック以上にクロックをあげようとするが、Radeonは余裕がない時に積極的にクロックを下げ、少しでも消費電力や発熱量を抑制しようという感じにも見える。
バランスは良い。遊ぶゲーム次第ではもっと伸びる
以上でRX 480のレビューは終了となる。前評判が高かった分OC版GTX 970と同等~ゲームによってはGTX 980に手がかかる程度という結果には少々残念な面があるものの、ミドルクラスとして十分評価に値する実力を備えたGPUである、といっていいだろう。
これまでのRadeonはワットパフォーマンスの低さが大きな弱点となっただけに、ようやくGeForce陣営と純粋な力比べができるレベルに上がってきたといえるだろう。
ただしHitmanやRise of the Tomb Raiderでのベンチマーク結果を見る限り、DirectX12ゲームといっても手放しで速いわけではないこともわかった。
実は筆者もE3の直前にこの件に関する技術的ブリーフィングを受けていたのだが、RX 480で試して欲しいゲームとしてAMDが挙げたのは「Battlefield1」「Civilization VI」「Vulkan版DOOM」、VR環境では「Battlezone VR」であった。
いずれもRX 480封切りの時点で誰も試せないゲームである……。つまり現状のゲームで判断するのではなく、今後出てくるゲームのためのGPUであるのだ。RX 480のターゲットは“あまりビデオカードにお金をかけたくない層”であるが、これは同時に買い換え頻度が低い層とかぶる。
シリコンの経年劣化によるパラメーター調整を盛り込んでくるあたり、これからじっくり時間をかけてエントリー~ミドルクラス層を刈り取ろうというAMDの思惑がみてとれる。今後の動向が面白いGPUといえるだろう。

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