2016年8月4日、第4世代GCN(Polaris 10)ベースの新たなミドルクラスGPU「Radeon RX 470」が販売解禁。続く8月8日には廉価版であるPolaris 11ベースのGPU「RX 460」の販売が相次いで解禁となった。
ハイエンドから攻めるNVIDIAに対し、AMDはRX 480からミドルレンジに向けて攻める戦略を採用している。RX 480以下のGPUは、一度ビデオカード(PC)を買ったら数年は買い換えない層がターゲットだ。安価で高性能なGPUを求めていたゲーマーにとっては非常に注目度の高いGPUであることは間違いない。
発売から少々日にちが経過してしまったが、MSI製のRX 470搭載カード「RX 470 GAMING X 8G」およびSapphire製のRX 460カード「SAPPHIRE NITRO RX 460 4GD5」をテストできた。
果たしてRX 480の弟分は、価格に敏感なゲーマーの心を動かし、ミドルクラスGPU選択を変える実力を備えているのだろうか? ベンチマークを交えつつ検証してみたい。
RX 400シリーズのスペックの違いは?
最初にRX 470/460と既存のGPUとの相違点を押さえておこう。スペックは以下のとおりだが、RX 470およびRX 460にはリファレンスカードが存在しないため、実際の製品における動作クロックはその製品ごとに異なる。
R9 380Xの世代違いともいえるRX 470
RX 470とRX 480の違いはSPの数と動作クロックの差でしかない。RX 480が36CPU(Conpute Unit:SP64基のクラスター)なのに対しRX 470が32CPUなので、CU数ベースで12%程度のスペックダウンといえる。
SP数を減らしたモデルでは往々にしてクロックを上げて上位モデルとのバランスをとることがあるが、RX 470はクロックもSP数も減っているという点に注目したい。
そしてRX 470のスペックは、第2世代GCN(Tonga)のR9 380Xと共通点が多い点にも注目だ。第4世代GCN(Polaris 10)ではL2キャッシュの増量、色圧縮機能やAsync Computeまわりの強化、さらにHDMI2.0対応やワットパフォーマンス改善等、様々な改善・機能追加が盛り込まれている。
特に第4世代GCNにおけるL2キャッシュの量(2MB)は、第3世代のそれ(512KB)に比べ圧倒的であり、クロックの高さとの相乗効果で相当なパフォーマンスアップが期待できる。ちなみに第4世代GCNについては、RX 480レビュー記事で解説しているので、気になる人はそちらをご覧いただきたい。
今回テストしたMSI製RX 470カードに目を向けると、耐久性や安定性を強く意識した基板設計、発光機能付きの大型クーラーなどの“MSIらしい”手慣れた感じの設計だが、HDMI出力が2系統もある点に注目したい。
ViveなどのVRHMD(ヘッドマウントディスプレー)を使う場合、従来のビデオカードではHDMI出力をVRHMDに奪われてしまい、メインのディスプレーへの出力端子確保に困ることが往々にしてあるが、HMDIを2系統にすることで見事これを解決しているのだ。

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