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最新パーツ性能チェック 第194回

「Radeon RX 480」は迷えるゲーマーを導く極星となるか?

2016年06月29日 22時01分更新

文● 加藤 勝明 編集●北村/ASCII.jp

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VR性能は微妙?

 続いてVRでのパフォーマンスを測定してみたい。グラフィックとコンピュートタスクのバランスを自在に設定できるQuick Response QueueはOculus「Rift」でも採用されているようだが、今回はHTC「Vive」を使って検証してみる。

 まずは「SteamVR Performance Test」だ。インタラクション性がないテストなのでVRシステムのCPU評価には向かないベンチだが、GPUの描画性能には割とシビアに反応する。各GPUの評価をご覧いただきたい。

RX 480の評価。VRレディだが忠実度のグラフは中~高の間をうろついている

R9 380XはVR可能。VRのアプリは動くが、フレームレート的に向いてないよ、という意味になる

GTX 970はRX 480とほぼ同等じ評価。GTX 970にはPascalのようなVR向けの機能がないぶん、RX 480に比べ将来性は不利だ

R9 NanoやGTX 980だと8ポイント台のスコアーが出る

 ただSteamVR Performance Testはインタラクション要素に乏しく、VR環境におけるパフォーマンスを直接比較できるものではないと筆者は考える。そこでVRゲームの中でも描画がやや重めの「theBlu」のフレームレートを測定してみた。描画オブジェクト数の多い“Reef Migration”を再生し、約3分半のフレームレートを「Fraps」で比較した。

Vive環境における「theBlu」のフレームレート

 R9 380Xを除き平均ほぼ90fpsに近い。これだけを見ればRX 480はVR用としてはほぼ問題ない性能を発揮しているように見える。Viveでは1フレームあたり11ミリ秒(90fps)で描画することを理想としているが、ここで問題にするのは“どの程度時間的余裕があるか”という点だ。Viveのフレームタイミンググラフから、そのあたりをチェックしてみよう。

 図の見方は上段がCPU、下段がGPUの処理時間、横軸はフレームを示している。縦軸が処理に要した時間(ミリ秒)を示しているが、青+緑の領域の先端が11以内ならOKということだ(Viveシステムでは処理時間が10.5ミリ秒を超えそうな時に赤線が表示される)。

GTX 980(左)とGTX 970(右)。ほとんど変わらないように見えるが、GTX 970の方がグラフの先端がGPUパワーに劣る分ほんの少しだけ高い(つまり処理に時間がかかる)。これが理想的な例

R9 380Xの平均フレームレートが45fpsと遅いのは、ほとんどのフレームで描画に11ミリ秒以上要しているから。遅延が出ると次のフレームまで画面が更新されない“スタッタリング”が出ているのだ

RX 480の場合は大半のフレームで11ミリ秒以内に処理を終了しているが、GTX 970に比べると1~2ミリ秒程度余分にかかっている。時々うスパイクのように処理に時間がかかる部分があるが、これが多く発生すると画面の違和感としてプレイヤーに認知されることになる

R9 NanoだとGTX 970とほぼ同レベルの時間になる

 もちろんVRにも特定GPU向けの最適化という問題があるため、この結果がすべてのVRコンテンツに当てはまるとは言えない。ただVRに強い機能を備えたPolarisだからといって、無条件に快適プレーを約束するものではない、という点もわかったはずだ。あくまでVRゲームがAMDのLiquid VRに対応していれば、重めのVRゲームでもRX 480で快適に遊べると考えるべきだろう。

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