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ゼロから始めるITセミナー 第6回

原田一樹氏を迎え、各社クラウドの特徴、これからのクラウドキーワードなど語る

クラウドがテーマの「ゼロから始めるITセミナー」第3弾レポート

2016年06月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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クラウドを正しく使いこなせていない日本企業は「危機的状況にある」

 原田氏は、日本企業におけるクラウドサービス利用率や、日米企業のクラウド導入理由の比較などの資料を挙げながら、現在の日本企業が「危機的状況にあるのではないか」と語った。

日本企業におけるクラウドサービスの利用状況(総務省調査より)。欧米企業よりも利用率が低く、メールなど企業競争力とは関係のない汎用サービスから利用が始まっていると原田氏は説明

日米企業のクラウドサービス導入理由を比較(JEITA資料より)。日本企業では効率化/コスト削減という意識が強いが、米国企業は明確に新たなビジネス価値の創造、ビジネスモデルの変革を意識してクラウドを利用している

 「米国企業では“攻める”ためにクラウドを使っている。しかし日本企業の多くは、既存ビジネスの効率化やコスト削減など“守り”のために使っている。この違いは、かなり日本企業にとってまずいんじゃないかと感じている」

 なぜなら現在のクラウドサービスでは、たとえば人工知能やIoT、ビッグデータ処理、マイクロサービスなど、最新テクノロジーが次々にサービス提供されるようになっているからだ。大きな投資をして最新テクノロジーを自社導入することなく、クラウドサービスとして気軽に試せるわけだ。良いアイデアさえあれば、資金力のないベンチャーでもすぐにビジネスを立ち上げられる。

 「最新技術を身近なものとして活用することで、ITを使ったデジタルビジネスが加速し、UberやAirBnBといった既存ビジネスを“破壊する”Disruptiveな企業も登場する。クラウドを使わずぬくぬくしている企業と、クラウドを使いこなして新しいサービスを創出する企業とに二極化している」

 「最新のクラウドキーワードは?」という質問に対し原田氏は、「従来とまったく異なるITインフラ運用」「APIエコノミー」「サーバーレス/マイクロサービスアーキテクチャ」「DevOps」の4つを挙げ、それぞれを説明した。

クラウド時代には、これまでとはまったく違うコンセプトでITインフラ運用が行われる

サーバーレスでコードを実行するマイクロサービス基盤も、各社が一斉に提供を開始。「クラウドならでは」の仕組みであり、注目される

 これらのキーワードでもわかるとおり、クラウドはすでに、既存の(オンプレミスの)IT運用をアウトソーシングするというだけの存在ではなくなりつつある。原田氏は、あらためて聴講者にクラウドの積極的な活用を訴え、セミナーを締めくくった。

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