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ゼロから始めるITセミナー 第6回

原田一樹氏を迎え、各社クラウドの特徴、これからのクラウドキーワードなど語る

クラウドがテーマの「ゼロから始めるITセミナー」第3弾レポート

2016年06月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 5月27日、第3回目となるアスキー主催「ゼロから始めるITセミナー」が開催された。今回は「『クラウド』ってなに?」をテーマに、これまでSIerの立場で幅広いクラウドサービスに触れてきた原田一樹氏を講師に招き、クラウドのメリットや留意点、クラウド各社の特徴、これからの“クラウドキーワード”などが語られた。

今回の講師、原田一樹氏。大手システムインテグレーターでAWSやAzure、Bluemixなどのクラウド技術と、AIやIoTなどの新技術実証業務に従事してきた。Bluemixユーザー会「BMXUG」のコミュニテイリーダーも務める

いつものとおり、セミナーはアスキー編集部 大谷との「一問一答」形式で進んだ

 これまでと同様に、今回もセミナーはアスキー編集部 大谷が質問をぶつけ、原田氏がそれに答えるという一問一答形式で進んだ。今回、大谷が用意した質問は6つだ。以下、当日のトークから抜粋してお届けする。

「『クラウド』ってなに?」など6つの質問項目

クラウド活用の最大のメリットは「スピード」

 セミナーはまずもっとも基本的な質問、「クラウドってなんですか?」からスタートした。一口にクラウドと言ってもさまざまなサービスと配備/運用形態があるが、原田氏はそれらを包括して「クラウドとは、さまざまなIT資産をインターネット経由で提供/利用する形態のこと」だと説明する。たとえば、自社でメールサーバーを導入/運用するのではなく、外部の事業者が提供するサービスを利用するような形態だ。

パブリッククラウドやプライベートクラウドなど、配備場所や資産保有などの点からクラウドを分類するとこうなる

IaaS/PaaS/SaaSの分類。サービス事業者(ベンダー)がどのレイヤーまでを管理、提供するのかによって分類できる

 原田氏は、クラウド(特にパブリッククラウド)を利用する最大のメリットは「スピード」だと語る。「たとえばAmazon Web Service(AWS)を例にとると、ユーザーはサーバーを欲しいときにすぐ作って、利用できる。この『スピード』が、自社でサーバーを導入するオンプレミスとは最も大きな違い」。特に、アクセスが急に数十倍、数百倍にもなるWebサービスの世界では、このすぐに規模を拡張できる性質(スケーラビリティ)へのニーズが高い。

 その一方で、クラウドを使ってもコストは必ずしも安くなるわけではない、利用形態によっては高く付くこともあると注意を促した。初期投資が少なく済み、見た目で安くなったように感じることも多いが、基本的には自社導入の場合のコストに事業者の利益を上乗せしたものを月額で分割支払いしているだけなので、「どんなケースでもクラウド利用のほうが安い」というわけではない。

 ちなみに、来場者からの「クラウドに向いている/向いていないシステムとは?」という質問には、「システムの変更頻度に注目してほしい」と答えた。業務システムなどで変更頻度の少ないものは、クラウドで運用するメリットが少ない。「中には全システムをクラウド移行すると決めている企業もあるが、移行にはかなり手間がかかるので覚悟が必要」。システム更改のタイミングなどに合わせてクラウド移行していくのがよいのではないか、との見解を示した。

AWS、MS、IBMなど主要クラウドベンダーの「いいところ」「悪いところ」

 原田氏は、これまでSIerとして幅広いクラウドサービスに触れてきた経験に基づき、主要パブリッククラウドベンダー各社のIaaS/PaaSがそれぞれどんな特徴を持っているかを説明していった。AWS、Microsoft Azure、IBM Bluemix/SoftLayer、Google Cloud Platformの各社サービスだ。

各社のクラウドサービスにはどんな特徴があるのか?

 現在のパブリッククラウド、パブリックIaaSの代表選手といえばAWSだろう。AWSではユーザーニーズに応じた豊富なサービス(機能)が提供されており、さらにそうしたサービスのアップデート、新サービスの追加、利用料金の値下げも頻繁に行われている。ちなみに原田氏が気になるサービスは、テンプレートベースでシステム全体の自動構成(オーケストレーション)ができる「AWS CloudFormation」や、Hadoopクラスタをサービスとして簡単に利用できる「Amazon Elastic MapReduce(EMR)」だそうだ。

AWSの豊富なサービス群。新サービスの追加も頻繁に行われている

 Microsoft Azureについては、オンプレミスのWindows Serverとシームレスに連携する点が「いいところ」だと答えた。オンプレミス/クラウドの管理を統合できるだけでなく、オンプレミスシステムで負荷が高くなった場合に、Azureクラウドを使って規模を拡張できる。AWSを強く意識しており、AWSが価格を下げればそれに追従して価格を下げてくることもある。「管理ポータルでは、ウィザード形式でサーバーが立てられたりする。初心者にはバランスがいいサービスだと感じる」。

Azureも豊富なサービスを提供。やはりWindows Serverとの親和性の高さがポイント

 IBMのSoftLayer(IaaS)は、仮想サーバーだけでなく物理サーバー(ベアメタルサーバー)も組み合わせて利用できる点が大きな特徴となる。ユーザーが利用を申し込むと、おおむね4時間程度で提供されるという。「SoftLayerの料金は若干高めだと思う。ただしベアメタルサーバーが利用できるので、オンプレミスとまったく同じ構成がとれ、可用性確保の手法も同じものが使えることから、エンタープライズ顧客に人気がある」。

 一方、同じIBMのBluemixでは、PaaSとIaaSの両方のサービスを提供している。「SoftLayerもIaaSなので、ちょっと顧客を悩ませる部分ではある」。提供するサービスは豊富で、中でもコグニティブ/機械学習技術の「Watson」が特徴的だ。Watsonは画像認識、テキスト認識などの技術を提供してくれる。「コグニティブなサービスはマイクロソフトやグーグルも提供しているが、“日本語力”に関係するサービスではWatsonが優位」。

 Google Cloud Platformは「他のベンダーにはない、とがったテクノロジーを提供している」。中でも、DWHサービス「Google BigQuery」はかなり特徴的だと原田氏は紹介する。「まだ日本のユーザーが少なく、日本語ドキュメントも少ない。ただし、今年は東京にリージョンを作るそうなので、盛り上がってくるのでは」。

 原田氏は、利用するクラウドベンダー選びは、提供しているサービスが自社のニーズに合っているかどうかを細かく検討すること、さらにシステムを利用する国にリージョンがあることなどがポイントになると説明した。

 また、最近では各社ともPaaSとして提供するサービスが充実しており、PaaSの品質も上がっていることから、「まずはPaaSでシステム構築できないかを検討して、それで無理ならばIaaSにするようなことが多い」と、原田氏は現在のトレンドを語った。

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