ビジネスSaaSソリューション、クラウドインフラストラクチャー、「アドバンスドワークロード」
クラウド活用への道筋は、ふたつに分類されるという。ひとつが、「ビジネスSaaS」の切り口だ。マイクロソフトでいえば、Office 365やDynamicsなどがここに含まれる。そして、もうひとつは「クラウドインフラスチラクチャー」である。ここには、AzureやAzure Stack、Operations Management Suiteなどが入る。情報システム部門主導での導入も、部門主導の導入も、これらの道筋からクラウドに入ることになるのが一般的だ。さらに、これとは別に、昨今注目を集めているのが「アドバンスドワークロード」だ。ここでは、IoTや人工知能、機械学習といった技術を活用してクラウドによる価値を高め、より高いROIを実現できるようになる。
沼本コーポレートバイスプレジデントは、「セールスフォース・ドットコムは、ビジネスSaaSソリューションだけを提供する企業であり、AWSはクラウドインフラストラクチャーだけを提供する企業。それに対して、マイクロソフトは、ビジネスSaaSソリューション、クラウドインフラストラクチャー、そして、アドバンスドワークロードのすべてを提供できる。特にアドバンスドワークロードは、クラウドの神髄といえるもの。既存のソリューションでは成し遂げられなかったものアドバンスドワークロードによって実現できる。この3つを総合的に提供する裾野の広さを持つのがMicrosoft Cloud。導入した顧客は競合他社との差別化が可能になり、俊敏性、コスト削減といったメリットを享受できる」と語る。
これまでは、コスト削減の用途として、あるいは新たなビジネスに乗り出す際に、短期間でシステムを稼働させるといった点などがメリットとされていたクラウドだが、今後の価値は、まさにアドバンスドワークロードにある。だからこそ、沼本コーポレートバイスプレジデントは、これを「クラウドの神髄」と表現し、「クラウドのベネフィットを提供するものになる」とするのだ。マイクロソフトがクラウド戦略の基軸をインテリジェントクラウドと称しているのも、こうした背景があるからだ。
「Project Oxford」で映像・顔・音声認識APIを提供
このアドバンスドワークロードの提供において、マイクロソフトが取り組んでいるもののひとつに、「Project Oxford」がある。基礎研究部門であるマイクロソフトリサーチが研究を進めてきたもので、機械学習によって実現する機能をAPIとして提供している。
映像に何が写っているのかといった内容を認識できる「Computer Vision API」や、笑顔や泣き顔、怒っている様子などを認識可能な「Emotion API」、周りの騒音の中から目的とする音声だけを抽出する「Custom Recognition Intelligence Service」(CRIS)など、10のAPIを提供しており、これを開発者に提供することで、アプリやサービスに活用できるようにしている。音声認識でやり取りし、テキストや画像認識を活用したサービスも簡単に実現できるようになる。インテリジェントクラウドのひとつの切り口だといえる。
今後マイクロソフトでは、新たな技術への投資や買収を加速することで、インテリジェントクラウドの価値をさらに高めていく考えである。インリジェントクラウドの進化は始まったばかりである。
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