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「富士通フォーラム 2016」に見る実装例

富士通のAI技術「Zinrai」でどんな世界が創られる?

2016年05月20日 07時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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展示の見どころをロボットが案内

 展示会場内の特設ステージでは、Zinraiと自然言語で会話するデモが行われていた。Zinraiが紹介したのは「ロボット・フューチャー・ビジョン」という同社の考え方だ。Zinraiを活用しつつ、ロボットを起点としたコミュニケーションを実現する。

 具体的には、来場者にビーコンを配布し、屋内位置測位ソリューション「SPATIOWL 人流分析サービス」(2016年1月発表)によって、どの展示によく人が集まっているのかを可視化する。

来場者にビーコンを配布

どの展示によく人が集まっているのかを可視化

 さらに、展示の前を歩く人の中からその展示に興味の有りそうな属性の人に、ロボットから声がけするようなデモを紹介していた。クラウド上に集積された来訪者の属性情報とビーコンタグを用いて収集した移動履歴、各ロボットの応対履歴から、来訪者に応対しているロボットに対して、リアルタイムに最適なメッセージを生成・提供するそうだ。

ロボットから声がけするようなデモを紹介

メディエータロボット「RoboPin」。頭部と腕が稼働し、顔は5色に光る

ロボットが来場者一人ひとりをおもてなし

機械学習技術で旅行プランを提案

 機械学習技術としては、「時系列データを高精度に分析する新たなDeep Learning技術」(2016年2月発表)を展示。同技術は、IoT機器などから得られる、人による判別も困難なほど振動の激しい時系列データを高精度に分類するもので、「カオス理論に基づいた時系列データの図形化」「位相幾何学に基づいた図形の数値化」という手順で分類する。

 平たく言うと、振動の激しい波形を図形化して特徴を掴み、位相幾何学で図形を数値化することで、扱いやすいデータに変換するのだ。

 ウェアラブル機器に搭載されたジャイロセンサーの時系列データをもとに、人の運動行動の分類を行うベンチマークを行った結果、約85%の精度を達成。また、脳波の時系列データから状態推定を行う分類においては、約77%の精度を達成したという。例えば、IoTデータによる機器設備の異常検知・故障予測や、バイタルデータによる医療診断・治療支援などが期待される。

時系列データを高精度に分析するDeep Learning技術

 このほか、「人工知能を活用した業務志向の自然対話技術」(2016年5月発表)のデモを行っていた。「主に窓口対応業務において簡単な設定をするだけで、AI技術でユーザーの要望を正しく理解し、必要な情報を自然に引き出しながら自律的に対話する」とされている。

 デモでは、チャットベースで旅行プランを提案していた。「行き先はどちらですか?」という質問に、ユーザーが「ローマに行きたかったけどナポリに行きます」と回答すると、「ナポリのスタディオ・サン・パオロは必見ですよ!」とオススメした上で、「何日間の滞在ですか?」と詳細な日程を考えてくれる。

 「ローマに行きたかったけど」=「ローマには行かない」という意図を読み取り、ローマに関する情報はアウトプットしないように判断。日本語固有の難しさである表現の多様性や曖昧性などの問題に対して、入力文の単語間の意味の関係を構造的に抽出することで、利用者の発話を高い精度で理解し、スムーズな対話を実現しているという。さらに「スタディオ・サン・パオロは必見ですよ!」という付加情報については、LOD(Linked Open Data)などの外部データベースから取得した情報を適宜織り交ぜながら、対話履歴から回答の選択方法を常に学習している。

 東京海上日動火災保険の技術検証を通じて、開発されたものだそうだ。

チャットベースで旅行プランを提案

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