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高橋幸治のデジタルカルチャー斜め読み 第23回

「クラウドファンディング成立低くていい」運営語る地方創生

2016年05月19日 09時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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地域支援型クラウドファンディングの老舗「FAAVO」の理念

 今回、本稿を執筆するにあたって地域支援型クラウドファンディングの老舗であるFAAVOを展開するサーチフィールドのFAAVO事業部責任者・齋藤 隆太取締役にお話をうかがった。齋藤氏は同サービスの着想についてこう語る。

 「僕自身は宮崎県の出身なんですが、地方から東京に出てきて故郷である宮崎のことを知ろうとしてもなかなかいいメディアがなかったんです。宮崎に限ったことではないでしょうけれども、いちばんよくできているサイトはたいてい観光協会で、あくまでもターゲットは観光客向けなんですね。その土地の出身者が“いま自分の生まれた土地では誰がどんなおもしろいことをやっているのか”ということを知る術がないわけです。自分が地元に帰っていろいろ調べないとわからない。でも、東京で仕事をしている以上そうそう頻繁に帰省するわけにもいかないですし、東京にいながらにして自分の故郷に想いを馳せたり目を向けられるなにかいい方法はないかなぁと思っていました。情報サイトを閲覧するだけというよりはもう少し重く、帰省するよりはもう少し軽い適度な立ち位置ですね」

 この「東京にいながらにして自分の故郷に想いを馳せたり目を向けられる」という感覚は非常に重要だろう。将来的には「Uターン」(いったん地方から都市へ移住した人が、数年後に再び生まれ故郷に戻ること)や「Iターン」(出身地とは異なる場所に移り住むこと、特に都市から田舎に移り住むことを)を希望している人は少なくないかもしれないが、誰もが即座に行動を起こせるわけではない。

 齋藤氏も以下のように指摘する。

 「完全な移住から週末移住、二拠点生活など、多様なライフスタイルを提案するのは簡単ですが、多くの人にとってはやはりハードルは高いですよ。じゃあ、だからといってなにもしないというのではなく、もっと気軽に故郷や地域と関わる方法があってもいい。しかも寄付や募金とも異なる深度での支援ですね」

 FAAVOは「エリアオーナー制度」というシステムを導入しており、全国に点在する40以上の団体がその土地から発信されるアイデアに対してクラウドファンディング成功に向けたアドバイスなどを行なう。

FAAVOでプロジェクトを掲載する流れ。プロジェクトの審査が通るとまずはエリアオーナーに相談することになる

 もちろん運営本部としてのFAAVOもそこに加わるが、地域の企画者にとってエリアオーナーという身近な相談者の存在は大きいだろう。齋藤氏はFAAVOの基本スタンスについて以下のように説明してくれた。

 「地方の人たちに話を聞くとたいていみなさん『自分たちはPR下手だから……』と言うんです。でも、その土地その土地にはさまざまな資産や資源が眠っている。だからそれらを活用したおもしろいアイデアさえ出してもらえれば、FAAVOは資金調達とみなさんが苦手なPRを代行させていただきますということですね」

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